飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)
(2006/09/07)
ケストナー

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みんな、一緒に成長していく


孤独なジョニー、弱虫のウーリ、読書家ゼバスティアン、正義感の強いマルティン、いつも腹をすかせている腕っぷしの強いマティアス。同じ寄宿舎で生活する5人の少年が友情を育み、信頼を学び、大人たちに見守られながら成長していく感動的な物語。ドイツの国民作家ケストナーの代表作。(「BOOK」データベースより)


●ドイツの学校生活

先日読んだ『本へのとびら――岩波少年文庫を語る』でも紹介されていた『飛ぶ教室』です。
今回は光文社古典新訳文庫から出ているものを読みました。

読むまではなにかファンタジーかなと思っていました。
「『飛ぶ教室』ってタイトルだから、急に教室が中に浮かんで…そこからファンタジーな世界を旅して…」ってな具合に。
読んでみるとファンタジーではありませんでしたが、とても心あたたまる良いお話でした。

●素敵な友情

話は、クリスマスまじかのドイツの学校を舞台に繰り広げられます。
子供達の友情や、勇気の話。優しさや思いやりの話。彼らを見守る大人たち。
それぞれの関係が素敵に交じり合い、微笑ましい学校生活が繰り広げられます。

題名の『飛ぶ教室』とはジョニー、ウーリ、ゼバスティアン、マルティン、マティアスの五人がクリスマスに披露しようとする劇のタイトル。
この五人が本書で主要な活躍を繰り広げます。

体格も、性格もばらばらな五人。
無茶をやったり、助け合ったりを繰り返しながら、より友情を深めていく五人。
遠くドイツの物語ですが、友情に関することは万国共通する、何か胸が熱くなるものがあります。

●光文社古典新訳文庫版の特徴

『飛ぶ教室』は児童書としてかなり知られているようです。
その分、翻訳などは子供向けに訳されたものが多かったそう。
本書の光文社古典新訳文庫では、原文を良さを活かした、スピード感や軽快さを重視した訳となっているそうです。

宮崎駿さんが推薦した、岩波少年文庫版と見比べてみるのも面白いかもしれません。



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もしも利休があなたを招いたら  茶の湯に学ぶ”逆説”のもてなし (角川oneテーマ21)もしも利休があなたを招いたら 茶の湯に学ぶ”逆説”のもてなし (角川oneテーマ21)
(2011/05/10)
千 宗屋

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知らなかった!お茶の世界


接待でも、サービスでもない。古くて新しい茶の湯的「主客」論。(「BOOK」データベースより)


●近くて遠い茶の湯の世界

著者の千宗屋さんは、茶道の武者小路千家元後嗣(次期家元)。
「お茶」の世界で生きる宗屋さんが語る、茶の湯の世界と、そのおもてなしの心についてです。

日本人でありながら、私はいまだ茶の湯というものを体験したことがありません。
イメージとしては色々なお作法を覚えなければならず、正座で足がしびれて…
憧れもあるのですが、厳しそうなイメージも強かったのが正直なところです。

本書を読むと、確かにお作法を覚えるための修行は必要で、ある程度の厳しさはあるとのこと。
しかし、それは「茶の湯」という一つの世界を楽しむための共通言語を学ぶための修行であるとも言えるそうです。

自転車だって、乗れるまでは散々ころんで苦労をします。
しかし乗れるようになれば、そこには自由な世界が広がっています。
茶の湯だって同じ。
基本的な所作、お作法を学ぶことで、茶の湯の世界を自由と広がりを味わえるようになるのだそうです。

●コミュニケーションとしての機能

さらに、茶の湯は共通認識やお作法を通じての、深いコミュニケーションの場としても機能します。
お互いが精神的に深く結びつき、日常生活とは少し違う茶の湯の場で、互いに心を通じ合う。
ある種の制限、約束事があるからこそ広がる独特な場こそが、茶の湯の機能なのかもしれません。

茶の湯の今、昔、未来。
他、茶の湯の世界にまつわる故事来歴などの解説も沢山載っています。
・なぜ「表千家」、「裏千家」、「武者小路千家」と三つに分かれているのか
・”わび”って何?
・一期一会の精神とは
・茶の湯と禅
 etc…

茶の湯の世界に興味を持つのに、とても適した本です。
そこから広がる、日常にも応用できる心尽くしを学ぶだけでも、役に立つことでしょう。


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煩悩リセット稽古帖煩悩リセット稽古帖
(2009/01/18)
小池 龍之介

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妄想、完全燃焼


異色の青年僧侶による話題の4コママンガで説く、三毒コントロール速修講座。日本人なら一度は聞いたことのある煩悩、三毒、カルマ、慈悲、無我、無常、空、苦、戒、精進etc.仏道キーワード相関図つき。(「BOOK」データベースより)


●目指せ、ベストパフォーマンス

考えない練習』の著者で有名な小池龍之介さん。
若きお坊さんが語る、仏教の視点から見た、心リセット術です。

小池さんの本の特徴はとにかくわかりやすいこと。
「仏教の本?」なんていうと、とにかく難しくて、超神秘的な世界で…と思う方もいるはず。
本書では、そんなことはぜんぜんなく、かなり身近なことを題材に、煩悩というものの扱い方を指南しています。
小池さん自身が描いた、やたら可愛い四コマ漫画入りで、視覚的にもわかりやすい構成となっています。

煩悩は、怒り、迷い、欲の三毒の影響で、様々な心理的不具合がおこるのだとか。
本書のメイン課題は、いかにそれらを処理し、頭の中や心をクリアな状態にしていくかということです。

(変なたとえかもしれませんが、パソコンのパフォーマンスを低下させる、不要なデータやアプリケーションなどが煩悩にあたるのかも。不要なデータを削除し、余計なアプリケーションを捨て、デフラグなどを行えばパフォーマンスは回復する行為と、煩悩を取り扱う行為は似ているようにも感じます。)

●あなたは集中できますか?

頭の中や心をクリアにするとどういうメリットがあるのでしょうか。
私が最も良いなと思ったのが「集中力があがる」ことです。

仕事でも勉強でも、集中しなければならない場面は日常にいくらでもあります。
しかし、いったいどれだけの時間その集中力は続いているでしょうか。
おそらく、雑念が次々に浮かび、気づけば別のことを考えているなんてこともあるかもしれません。

そんな集中できない人(私も含む)にも、どうすれば集中力が高まるかという方法なども書かれています。
本書に書かれていることを意識しながら仕事をしましたが、いかに雑念がぽんぽん浮かび上がってくる中で作業をしていたのかがわかりました。
それらに煩わされないようにしつつ、本書にあることを試しながら、「集中力のない人」から脱出できるよう心がけたいと思います。



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オリバー・ツイスト〈上〉 (新潮文庫)オリバー・ツイスト〈上〉 (新潮文庫)
(2005/12)
チャールズ ディケンズ

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貧困に憂う


救貧院の孤児として育てられたオリバーは、食べ物も満足にあたえられず、煙突掃除屋や葬儀屋に「貸出」される仕打ちに耐え切れず、9歳のある日そこを抜け出してロンドンへ向かう。オリバーは、道中で出会った少年に案内されて、とある家に泊まることができたが、そこはユダヤ人フェイギン率いる窃盗団の巣窟だった。いやいや一味に加えられたオリバーは、早々に警察に捕まってしまう。(「BOOK」データベースより)



●貧困からの脱出

孤児の少年オリバー・ツイスト
どんな時にでも正しさを忘れなかったオリバーの人生を描いた話です。

前々から気になっていた『オリバー・ツイスト』。
タイトルはずいぶん前から知っていましたが、どんな話なのかまったくわからぬまま読んでみました。

舞台は19世紀のイギリスで、ずいぶんと貧富の格差がひどい時代。
貧乏のどん底で暮らしていたオリバーが艱難辛苦を通して徐々に幸せを手に入れていくという、古典的な幸福劇といった内容です。

●ストーリーよりも、時代描写

この話が書かれたのは180年ほど昔。
当時の価値観は、現在とは大きく違います。
なので、登場人物たちにいまいち感情移入しづらいところが多々ありました。

オリバーが幸せになっていく過程には、ちょっと都合良すぎるんじゃないかと思う場面が多々あります。
訳者の解説にもありますが、このご都合主義当時のロマン主義文学の影響があるからだとか。
現実が舞台ですが、ストーリーにはどこかリアリティーに欠けるものを感じます。

ストーリーよりも目が行ったのは、文化や環境。
この当時は産業革命後のイギリスなのでとにかく汚く描写されています。
貧困層に対しては、社会福祉らしきものはありますが、それもひどいもの。
貧しい人たちは、本当に劣悪な環境で暮らさざるをえなかったのでしょう。

時代描写にはリアリティーが感じられ、環境や貧困、人権について考えさせられるものがありました。



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バガージマヌパナス―わが島のはなし (文春文庫)バガージマヌパナス―わが島のはなし (文春文庫)
(1998/12)
池上 永一

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自由な巫女さん


「ワジワジーッ(不愉快だわ)」ガジュマルの樹の下で19歳の綾乃は呟く。神様のお告げで、ユタ(巫女)になれと命ぜられたのだ。困った彼女は86歳の大親友オージャーガンマーに相談するが…。あふれる方言、三線の音、沖縄の豊かな伝承を舞台に、儚い物語の幕が上がる。第6回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。(「BOOK」データベースより)



●豊かな島の、自由な主人公と変なオバァ

神のおつげで巫女になることを命じられた綾乃。
どこまでも自由奔放な彼女は、その運命からのらりくらり逃げ通そうとするが…
沖縄を舞台にした、自由と思いやりに満ちたファンタジーです。

読んでいると、一度も行ったことのない沖縄の景色がありありと浮かんできます。
豊かで、明るく、現代よりももう少し自由が許されていた頃の沖縄。

島時間が流れていて、ゆるやかで。
強い日差し、青い空、澄んだ風、綺麗な水、活き活きとした緑…
そんな島で、誰よりも自由に生きようとする主人公「綾乃」と、その友達「オージャーガンマー」。
オージャーガンマーは80過ぎのオバァですが、綾乃と共に自由に、そして楽しみながら島をかけめぐります。

年齢の離れた、へんてこなコンビ。
この二人が、美しい島の中で自由にあそびまわる光景は、眩しくあり、羨ましくあり。
すこし前までならば、普通にこんな光景があったのかもしれませんが、時間や制度に束縛された現代からはその光景すらファンタジーのように感じます。

●交じり合っている、「こっちの世界」と「あっちの世界」

この話のファンタジーたる部分は、島の神様と綾乃が交流する部分。
綾乃には、素質があるようで神様から巫女になるよう、懸命にスカウトされます。

このファンタジーに導入していく感じが、沖縄を舞台にしているせいか割とすんなりと受け入れられます。
そんなに文明に染まりきっておらず、まだまだ神様や精霊が息づいているようなところで暮らす主人公たち。
こっちの世界とあっちの世界が、比較的ゆるやーかに交じりあっている感じのする島暮らし。

神様と綾乃のやりとりも、どこか友達付き合いのよう。
神秘的な感じはせず、暮らしの延長線上にある親しみ深ささえ感じます。
(でも相手は神様ですから、逃げ回る綾乃はちょっとだけ神罰なども受けたりしますが。。。)

島の美しさからは、自然の恵みを感じられて。
綾乃たちのやりとりからは、自由に生きることの輝きを感じられて。
読書しながらそんな世界に浸っていくと、どこかプチリゾートのような感覚もして。。。

読み終わったあと、「沖縄に行きたい」っとなること間違いなしです。



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Author:図書館男子
本や映画が好きな図書館男子です。ちょっと変てこな本、アーティステックな本を中心に、実用書や小説なども取り揃えております。レビューや感想つらつらと。
「ふらりと寄り道したくなる図書館」がコンセプトのブログです。

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