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『落語と私』~面白うて、そして学べる~

落語と私落語と私
(2005/11)
桂 米朝

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図書館に、ほんのわずかだけある演芸書棚。
落語関係の本はほとんど読んでしまって、新しいの入荷しないかなと思っていた今日この頃。
なんのきなしに、児童書コーナーをぶらついていると、この本を発見。
「はて?どうして米朝師匠の本が児童書コーナーに?」
なにわともあれ読んでみました。

米朝師匠の落語論的な本です。
丁寧に、丁寧に。
難しい部分にまで、つっこんだお話もされていますが、あくまで丁寧なのでわかりやすい。

どうやらこの本は中高生に向けて書かれたもののよう。
とにかく丁寧に丁寧に書かれています。
内容的には落語を知らない人に向けて書かれたものですが、時々見かけるような落語入門みたいなちゃちな内容でなし。
東西落語の比較、システム、古今東西の名人、歴史などかなり充実したボリューム。
めちゃくちゃに面白いといったような内容ではありませんが、じっくりと向き合える内容があります。
これ一冊読めば、今後落語を聴く時の理解力が違ってくるはず。

活躍されている噺家さんとかの自伝などを読んでいると、結構中学生ぐらいの時からこの道を志す人とかも多いよう。
何かのきっかけで落語を聞いて、そして興味を持って。
今でこそ何かを調べるにはネットがありますが、一昔前は基本的には本だのみ。
落語の本って、濃すぎる内容の好きな人むけの本か、かなりうっすい内容の初心者向けの本と二者がくっきり分かれています。
本書のような、どっしりとした内容の初心者向け書籍は、落語に興味を持った学生の良き味方となったことでしょう。
もちろん、ネット全盛期の今日でも、落語に興味を持った、特にティーンエイジャーは読んで損はないでしょう。


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『正蔵一代』&『落語家柳昇の寄席は毎日休みなし』~老齢噺家~

正蔵一代正蔵一代
(2011/09)
八代目林家正蔵

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落語家柳昇の寄席は毎日休みなし落語家柳昇の寄席は毎日休みなし
(2008/06)
春風亭 柳昇

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八代目林家正蔵と五代目春風亭柳昇。
年代も違うし、スタイルも全然違う。
だけれども、どちらにも引き寄せられる。

落語の本です。
対照的な二人の噺家を並べてみました。
正蔵師匠のほうはバリバリの古典。ゆったりと話し方でドカっと笑わす芸ではないけれど、整った味わいのある噺家さん。笑点でおなじみ、林家木久扇師のお師匠さんです。
一方、柳昇師匠のほうは、がっつりと新作。とぼけた感じの芸で、とととっと気づいたら柳昇ワールド。いろんな角度からギャグが飛び込んでくるので油断できない面白さを持っています。こちらは笑点でお馴染み春風亭昇太師のお師匠さん。

最近テレビ番組で見るお笑いでは、出てくるのは若い人ばかり。
勢いはあるんだけれど、なんかものたりない。刺激だけで味わいがたりない。
関西ローカルとかだと、ベテランの漫才なんかも見れるのですが、一般的なテレビではそういう若手の芸しかみれません。
たぶん、そういうのに飽きて落語が好きになっていったという面もあります。

落語の世界。いや、日本の古典芸能全般に言えると思いますが、おじいさんになってからが真骨頂。
長年練り上げてきた芸が熟成され、なんともいえない魅力となってきます。
正蔵師匠も、柳昇師匠も80歳過ぎてからも高座に上がられていたそうです。
音源や映像が残っていますが、やっぱりその歳でないと出せない魅力が漂ってます。

お二人共既に鬼籍に入られています。
残念ながら、お二人の芸はリアルタイムで見られませんでした。
でも数多くの音源、映像が残っていてそれからその空気が味わえますが、どういう人柄だったのかがわからない。
もちろん、ウェブなどでそれらの情報は集められますが、ここまで年月を重ねるまでにどのような人生があったのだろうかと気になりもして。

こういう自伝的なものが残されているのは、後の人がその時代、名人の足跡を読み取るのに大変役に立ちます。
これらの名人はどういう人生、どういう時代を生き抜いて、これらの芸にまでたどり着いたのか。
人との出会いや、経験、遊びエトセトラ。
特に、『正蔵一代』などでは、明治、大正、昭和初期の日本がどういう有様だったのかも描かれていて、歴史的な情景も相まって面白かったです。

本を読んだことで、正蔵師や柳昇師の噺の理解度がも一歩深められればと思います。

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『芸談 あばらかべっそん (ちくま文庫)』~色気のある名人、桂文楽~

芸談 あばらかべっそん (ちくま文庫)芸談 あばらかべっそん (ちくま文庫)
(1992/04)
桂 文楽

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昭和の大名人、桂文楽の芸談です。

とっても古い本。本屋に行っても今じゃ売ってないぐらいです。(だから、リンクのイメージがでてきませんでした汗)
図書館でリクエストして、県の大きい図書館から取り寄せてもらいようやく読むことができました。

芸談は芸談なんだけれど、なんとも色っぽい文楽師の人生。
様々なところで色事の話題がでてきます。
たぶん、そういう経験が自身の芸の肥やしになっているんだろうなぁ。
桂文楽師の演じる女性って、色っぽかったり茶目っ気があったりと、絶対にいるなっていう女性像。
たぶん、相当いろんな女性と付き合って(一晩だけのことも多かったでしょうが)そういう女性像を構築していったのでしょう。

題名にもある『あばらかべっそん』。
これ、すなわち桂文楽語。
特に意味はないらしいですが、ちょっと困ったときなどに「いやぁー、それはあばらかべっそん」などと使うと言われております。
(ほかにも「べけんや」などの名言(?)も。)

よく、志ん生、文楽と比較がでてきます。
古今亭志ん生と桂文楽。
その芸風は全然違うけれど、どちらもなんともいえない味がある。
日によって、志ん生を聞きたい日もあれば、文楽のほうがいい日だってある。

志ん生の『なめくじ艦隊』や文楽の『あばらかべっそんを』を読んで思うのは、芸ってその人の人生そのものなんだなってこと。
色々経験して、経験して、いやってほど色んなものを経験してその先に花開くもの。
頭じゃなくて、体に染み付いた空気とか色気とかそういうもんがあって初めて、名人て形作られるんじゃないかなって思います。
だから、双方とも大分におじいさんなのに、べらぼうに面白い。引き込まれる。
たぶん、空気や色気がないとどんなに上手くても、なんか物足りなさがあるのかも。風味とかそういう感じで。

本書などで桂文楽師が体験していることは明治、大正、昭和初期だからこそまだ出来たこと。
色事や旅にしても、いまよりもいくぶんのんびり時間が流れていたからこそ許される類のものだと思います。

それでも今に生きる私たちも、現代だからこその経験ができる。
別に噺家になるわけでもないし、まして名人になろうってわけではないけれど、色々経験してなにかしらの味わいのある年のとり方をしたいものです。


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『この世は落語』~たいていのことは落語の中にある~

この世は落語この世は落語
(2013/03/18)
中野 翠

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『この世は落語』いいタイトルだ!
私も常々、落語の中には世の中のできごとのたいていのことが詰め込まれていると思っています。
笑い、人情、怒り、ズルがしっこさ、欲、色恋、情愛、エトセトラ。。。
それらと様々なシチュエーションがからみあって彩られる落語。
どんな噺でも、よくよく考えてみると身の回りに当てはまりそうなものばかり。
そんな視点もありつつ、落語を紹介した本です。

著者の中野翠さんはずっと前から寝る前に落語を聞いているのだそう。(『今夜も落語で眠りたい』なんて本まで出しています。)
じつは私も五年ほど前からそんな生活。
寝る前に落語を聞くと、のんびりした気分で入眠しやすい。
名人たちの噺を聞きながら、眠りにつくのはとても贅沢な気分になります。
(寝落ちして、全部聞けないこともあるけれど、オッケー。)

さて、落語。
古典と言われる演目は、江戸から明治とかの話になってきます。
当然文化や価値観も違ってくるし、でてくる道具なんかも現在では使われていないようなものばかり。
遊女の噺も多いけれど、もちろん現代は遊郭なんかなし。
色々とわかりづらい部分が多いのも確かです。

でも聞いていると共感するし、笑える。
人間の根っこの部分。大切な部分。
それってなかなか変わるもんじゃないんだって思います。
世の中どれだけコロコロ変わろうとも、なかなか変わらないものだってある。それが良いんじゃない。

私自身、わりとのんびりや。
正直世間がもうちょっとスローペースのほうが良いなって思っています。
もうちょっと、じっくり”味わい”のある日々を意識しませんか、と。

落語の中には、私の理想の世界が詰まってます。
あんまり働きすぎるのも、良くなし。一生懸命の中にもどこかスコンと余裕がある。
「世の中すいすい、お茶漬けさくさく(刀屋という噺より)」の心持ち。
毒もあるけれど、死ぬほどのものじゃぁない、毒。むしろちょうど良い刺激なぐらい。
行き過ぎ感のある現代には、むしろ落語の世界はいい塩梅の滑り止めになるんじゃないでしょうかね。
そんなことを、ふと思いました。


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『立川談志自伝 狂気ありて』~毒舌で生き様を語る~

立川談志自伝 狂気ありて立川談志自伝 狂気ありて
(2012/07/25)
立川 談志

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昨年亡くなった立川談志師匠の自伝。
幼少期から、死ぬ間際までの自分を綴った、生き様が伺える一冊。

私は、どちらかというと談志師匠は苦手な方。
上手いし、すごいとは思うけれども、アクが強すぎて。。。
「立川談志が大好きだ!」って人は、あのアクと毒気(毒舌)がたまらないのでしょうが。
どうも、古典落語なんかでも、アクと毒気によって現実に引き戻されてしまうような感じがするので、あまり好きにはなれませんでした。

しかし、談志師匠の死後、様々な著作物を読むうちに、やはり芸人としては凄まじいものを持っているなってのがわかってきました。
なんというか壮絶。
”芸人”とか”落語家”とかいうものに身を捧げており、なによりも好き勝手生きることに命をかけている感じ。
そういう生き様を貫くには、敵も大勢できるだろうし、並大抵の苦労以上のものがあったはず。
だけれども、著者物なんか読む限り、そんなことは少しもださず、あくまで立川談志を貫いているのがすごいです。

この自伝では、あんまり若かりし頃の芸人生活について語られていません。
文章としては落語家立川談志なんだけれども、描かれているのは人間立川談志についてのことが多いです。
幼少期の頃、どんな生活をしていたのか。海外へ行って何に感銘をうけたのか。自分の子ども達、奥さんをどれだけ愛しているかということ。

あれだけアクの強い人が最後に残した自伝が、こんなに人間味感じるものというのがすごく意外な感じがします。
そのギャップの分だけ、立川談志という人の魅力が深まった本でした。




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