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『面白くてスラスラわかる! お江戸あきない繁盛図鑑』~一冊で大体がわかる~

江戸
12 /12 2012
面白くてスラスラわかる! お江戸あきない繁盛図鑑 (面白くてよくわかる! )面白くてスラスラわかる! お江戸あきない繁盛図鑑 (面白くてよくわかる! )
(2012/08/27)
竜野努

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職にあぶれぬ都市、江戸


●時代劇に映る町人の職業は何?

お江戸の商売を紹介する本です。
総計70項目。小商いからおっきな商売まで幅広く。

江戸関係の本を読んでいると、たいがい商売についての項目がでてきます。
当時はどんな商売があって、どんな暮らしをしていた云々
項目としては扱っていても、それら商売をまとめて扱った類の本はなかなか見当たりません。
この本は、それをまとめてくれているので、江戸の世界観を知りたい人にはすごく役にたつ本だと思います。

私は、これまで読んだ本などにも江戸の商売の話がでてきていたので、とりわけて目新しいものは少なかったですが、中には初見のものも。
その中で一番面白いなと思ったのが「見立番付」。
「見立番付」とは、相撲の番付に例えて、様々なものをランク付けするというもの。
例えば「浮世たくさんな人(世間でよく見かける人)」という項目では、大関=金持ちのケチ、関脇=娘の芝居好き、小結=嫁いびりの婆さん、前頭=かかにまかれる亭主、前頭=成り上がり者の義理知らず…などなど。
いまでいうならば「あるあるネタ」の元祖のようなもの。
それが世間で商いになったというのですからいかにおおらかな時代だったかということがわかります。

本書は色々載ってはいるのですが、いわゆる表の商売ばかりだったのが残念。
いわゆる色を売る商売(矢場女、夜鷹、湯女、船饅頭etc)などにも言及してくれていれば、もっと膨らみのあるものになったのではと、そのあたりが残念。
綺麗だったり、面白かったりとお天道様を浴びてる商売ばかりが商売じゃない。
そういう影の部分にスポットをあたてこそ、江戸の繁盛図鑑の精度が増すのではと思います。

いろいろ言っておりますが、資料としても読み物としても、わかりやすくまとめられていて面白かったです。
江戸に興味を持った方。江戸町民の暮らしぶりを知るためには、商いを知らねば見えてこないことも多々あります。
時代劇とか見るときにも、より理解度が増すはずです。


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『百物語 (新潮文庫)』~さらりと描かれる江戸の恐怖~

江戸
11 /21 2012
百物語 (新潮文庫)百物語 (新潮文庫)
(1995/11)
杉浦 日向子

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杉浦日向子節


●漫画で感じる江戸の怪

今年、大いにはまった杉浦日向子さんの漫画。
江戸に精通する彼女が描く、江戸の薄暗い恐れの世界。

百物語には幼い頃から、不思議なあこがれがあります。
すぐにでも実行できそうだけれども、怖い。
こっくりさんなどよりも、プロセスが複雑な分、ほんとうにナニカが起こりそうで。
あこがれと恐れがないまぜになった、そんな世界。

百物語を現代風にアレンジした書籍は何冊か読んだことがありますが、こういう江戸のやつは初めて。
もっとも百物語が流行っていただろう江戸。
誰彼から聞き覚えた、多くの怪しい物語が語られ、人々がうっすらとした恐怖に魅入られたはずでしょう。

●次から、次へと・・・

本書にある、一つ一つの話。
江戸時代に語られたであろう百物語の中身。
「日本の怖い話」というものの原点なようなものばかり。
日常に、すぅっと溶け込む怪異達。
因果もわからず、結末もあやふやな話も多く、一つ一つはそれほど怖いわけではありません。。。が。
それが淡々と、次々とあらわれるから、徐々に怖くなってくる。

それに、杉浦日向子さんの絵が、よく効いています。
どちらかといえば、シンプルな絵柄。
大胆な構図もなければ、特徴のあるキャラクターもでてこない。
武士、町人、町娘、爺婆、子供たち・・。
江戸の人々がありのまま姿。

シンプルだからこそ、百物語の日常性の怖ささが引き立ってくるよう。
絵に引っ張られず、話自体の怪しさをダイレクトに味わえる。
また、文章だけなら味気なくおわりそうな物語も、杉浦日向子さんの絵があることで、ストンと腑に落ちるように仕上がっているものも。
百物語と絵が、お互いいい具合に引き立てあっています。

夏の夜は過ぎ去りましたが、しんしんと寒い日に読む怖い本も乙なもの。


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『うつくしく、やさしく、おろかなり―私の惚れた「江戸」』~~杉浦日向子のラブレター

江戸
10 /10 2012
うつくしく、やさしく、おろかなり―私の惚れた「江戸」うつくしく、やさしく、おろかなり―私の惚れた「江戸」
(2006/08)
杉浦 日向子

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命がけで惚れぬく


あっけらかんとお目出度く生きていた江戸人たち。彼らが営んでいた暮らしや紡ぎ出した文化にとことん惚れ込んだ著者がその思いの丈を綴った最後のラブレター。(「BOOK」データベースより)


●杉浦節にはまる

杉浦日向子さんの、死後刊行されたエッセイ集。
生涯をかけて愛し続けた江戸へのラブレター。

杉浦さんが語り続けてきた江戸の話。
彼女は若いころから、その人生の大半をかけて江戸と向き合い続けています。

この本を見ていると、杉浦さんの本当の江戸観が見えてきます。
ただの憧れではない。真に惚れぬいた、その時代。
ただのあこがれでなく、その身をささげるほどに焦がれた江戸。
生半可なものではない、すご味がそこにはあります。

若いころから、晩年まで。様々な雑誌に寄贈してきたエッセイがまとめられていて、様々な年代の杉浦さんに一まとめで会えます。
歳を重ねるごとに、そのまなざしにも深みが宿るよう。
どっぷり浸かっているようで、それでも一歩引いているような、きりりとした間合いを心得ていく感じ。

「粋」と「遊び」、「くらし」、「食」をテーマにエッセイが集められています。
どれとて欠かせぬ構成ですが、特に「粋」。
「粋」はあこがれ。現代人にはとうてい及べぬ境地。
杉浦さんの解説が、ほかの辞書やなんかよりよっぽど、粋の良さが伝わってきます。

江戸が好きになって、杉浦さんの本に出会って。
本を読み終えると、さらに江戸が好きになっていました。


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『江戸アルキ帖 (新潮文庫)』~江戸をスケッチ~

江戸
09 /22 2012
江戸アルキ帖 (新潮文庫)江戸アルキ帖 (新潮文庫)
(1989/04)
杉浦 日向子

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絵で、江戸を身近に感じる

曜日の昼下がり、タイムマシンに乗って、のんびり江戸の町を散歩してみませんか。日本橋を振り出しに、神田、浅草、芝、本所、小石川…。足の向くまま気の向くまま、猪牙に乗って隅田川を下り、須田町の銭湯で汗を流し、疲れたら神楽坂の掛茶屋で一服―現代の浮世絵師・杉浦日向子が案内する、前代未聞の江戸ガイドブック決定版。カラー・イラスト127点収録、文庫オリジナル。 (「BOOK」データベースより)


●そうだ江戸へ行こう

今回も杉浦日向子さんの著書。
今月は結構読む本が偏っていますね(司馬遼太郎と杉浦日向子のツータッグ)
はまると、その著者の本を一気に読みたくなるのは性分なのかも・・・

今回の江戸アルキ帖は、少しSFチック。
著者がタイムマシンで江戸に行き、ありのままの暮らしをスケッチと文で記録しているといった文体をとっています。

この、スケッチがとても素敵!
本当に見てきたかのような、旅情あふれるリアリティ。
精密なわけではなく、あくまでもスケッチなんですが、そこが良い。
旅先の思い出を忘れないために描き残す、温かみと気楽さが感じられる絵。
漫画家であり、江戸時代を知り尽くしている杉浦日向子さんだからこそ描ける空気感があります。

この本の中では、江戸はかなり気軽に行ける場所として描かれています。
「そうだ、江戸へ行こう」ってな具合。
週末、気が向くままに江戸トラベル(検定試験があって、級によって滞在時間が変わるようですが)。
江戸時代ははるか昔のことでなく、隣り合った馴染み深いものとして捉えられているのが嬉しいです。

●お江戸夢想

もしタイムマシンがあったなら。
行ってみたい時代は、昭和30~40年代の地元、明治時代、江戸時代の三つ。
それぞれに、なんとなくの淡い憧れを抱く時代。
(昭和30~40年代は地元も活気があったらしいので行ってみたい。明治は新しい流れの中で、一般の人がどう生きていたのか見てみたい。江戸は、その時代の空気、価値観、美意識みたいなものを体感したい。)

それらが、旅行業としてなりたったならば、一般の人の人気はどの時代に集中するのでしょうか。
私は、おそらく江戸ではないかと思います。
距離感がちょうどいい。
遠さはあるんだけれど、まったく離れている文化というわけでもない。
そのへんの馴染み感を求めて、江戸に人気が集まるのではないかなと思ってみたり。

夢想はするものの、いまいちリアリティがつかめない過ぎ去った時代。
こういう本でも読みながら、その夢想をほんの少し具体的にしてみる。

浮世の煩わしさをスイスイと過ごすために、そんな夢想で息抜きするのもまた良しでしょう。


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『新装版 入浴の女王 (講談社文庫)』~浮世風呂いまだ衰えず~

江戸
09 /12 2012
新装版 入浴の女王 (講談社文庫)新装版 入浴の女王 (講談社文庫)
(2012/07/13)
杉浦 日向子

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津々浦々、裸の付き合い

銭湯は町の味噌汁。生まれたばかりの赤子から明日お迎えの隠居までひとつ湯の中、いいだしが出よう筈。日本全国の銭湯を訪ね地元女性の赤裸々を観察し、湯上がりに地元男性と酌み交わす、われこそは入浴の女王。裸の群れに裸で飛び込み、町の素顔を賞味する爆笑珍体験イラストエッセイ三部作、堂々完結。(「BOOK」データベースより)


●ゆったりしましょうよ

またまた杉浦日向子さん。
今度は江戸からちょっと離れた、浮世の入浴事情に関するエッセイ集。

杉浦日向子さんの晩年の作。
彼女の作品と言えば、江戸を中心としたものですが、最後の方には現代のありふれた風景をきりとるようなエッセイを多数書かれていたそうです。

入浴の女王』では東京から日本各地、様々な銭湯を訪ね歩いたエッセイ集。
ただ単に、銭湯の紹介というわけではなく、その土地の事情、人情に絡めてその土地から見えてくるものを紹介しています。

いままでの作品ではそうでもなかったのですが、この作品ではなぜかちゃきちゃきの江戸弁口調。
最初のほうは読むのにひっかかる文体ですが、なれるとリズム良く読み進められます。

杉浦日向子さんの銭湯描写が楽しいやらなまめかしいやら。
その土地の女性の体つき、お風呂のはいり方から楽しみ方。
所変われば品変わるといいますが、銭湯をみるだけでもその土地どちのカラーがくっきりでてます。

●残ってほしいものです

いまや、家庭にお風呂が当たり前の時代。
全国で銭湯がばったばったとつぶれていって、風呂は浮世の社交場という言葉もはや死語になりつつある世の中。

でもこういうエッセイを見ると、銭湯が、入浴が地域のコミュニケーションの手段として、今でも細々と残っていることに、すくなからず安心感を覚えます。
なんか嬉しいじゃありませんか。そこにいけば誰か知り合いに会えるっていう空間。
特別なことじゃなくて、日々の営みにそれがある。
そういうのってなんか良いですよね。

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余談ですが
「女王」ってなんて読みますか?
いままで「じょうおう」だと思っていましたが、
実際は「じょおう」で漢字変換されます。
知らなかったのは私だけ?


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図書館男子

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