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『かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (角川文庫)』~ほっこりとした万城目学的おはなしー~

かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (角川文庫)かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (角川文庫)
(2013/01/25)
万城目 学

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『鴨川ホルモー』などの作者、万城目学氏のお話。
「おはなし」って表現がよく似合う、ほっこりとした内容。

犬を旦那さんに持つマドレーヌ夫人(猫)。
彼女と、その飼い主のかのこちゃんを中心に描かれる、割とハートウォーミング系のおはなし。

他の万城目作品と違い、この話には「ご当地伝承云々」がでてきません。
なので、これまでの作品と同じテンションで読むと、ちょっと面食らうと思います。
(私も若干面食らいました)
おバカな感じもなく、土着的なファンタジー要素もほぼ無し。
(ほんのちょっとだけ『鹿男あをによし』とのリンクを匂わせるシーンがでてきますが。。。)
そういうのに頼らない作品を書いてみようという、なんか挑戦的な気晴らし的な伸びやかさすら感じます。

犬と猫という、種族を超えた愛。
種族が違うだけに、お互いを思いやる気持ちや気遣いなどが、なんだか健気で美しい。
犬は鎖をされているし、猫は自由。そういった境遇の違いなどによる、心遣いのきめ細やかさなどもよく描かれていると思います。

マドレーヌ夫人たちだけだと、なんだか淡々としてしまいがちなところを、まだ小さいかのこちゃんがいい具合にクッションになって、話をふくらませてくれる。
邪魔にならず、主張しすぎず。それぞれのキャラクターがそれぞれにいい役割を演じている。
そういうのが絡み合っていて、読み終わってみると、なんとなく万城目学氏を感じるような余韻も漂います。

心があったかくなったり、ちょっぴり悲しかったり。
めちゃくちゃ面白いという類の作品ではありませんが、そういう気分を味わいたい時には良いものです。


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『プリンセス・トヨトミ』~父子の受け継がれる絆~

プリンセス・トヨトミプリンセス・トヨトミ
(2009/02/26)
万城目 学

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映画かもされている、万城目学氏の小説。
大阪を舞台にした、壮大な物語。

万城目学作品に通じる「関西地域に受け継がれる秘密」テイストは健在です。
今まで読んできた『ホルモー』、『しゅららぼん』、『鹿男』と比べると一番スケールのでかい話かも。
他作品に比べてファンタジー色は薄いけれど、それを補う壮大さ。
おそらく、舞台が”大阪”だからこそ「もしかしたら、、、あるかも?」がなりたつような話。

最初タイトル見た時からは予想もしなかったことですが、根底にあるのが父と子の絆。
その一点につきる。
大阪を舞台に、やたらスケールの大きな話になっていって、まとまらなくなりそうなものをまとめるのが”絆”。

正直、読んでいて展開や設定に無理を感じるところも多々あります。
でもそれは大阪が持つ土地の特性や、人情の部分でなんとなく許せちゃう。
だれる部分もありつつも、そこそこに惹きつけられるストーリー展開でした。

ただちょっとシリアスかな。
他の万城目作品に比べると、軽さが少ない気もします。
ただ、謎や秘密がけっこういっぱいあるので、そういうものへの好奇心的なものは十分満足できるでしょう。

京都、滋賀、奈良、大阪。。。
万城目学氏が次に選ぶのは和歌山か兵庫でしょうか?
このままコツコツと続けていって、47都道府県の「ご当地に受け継がれる秘密」小説を書いて欲しいものです。


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『鹿男あをによし』~万城目学が奈良を描いたら~

鹿男あをによし鹿男あをによし
(2007/04)
万城目 学

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『鴨川ホルモー』で有名な、万城目学氏の作品。
今回、タイトルの「鹿」からもイメージできるとおり、奈良のお話。
ホルモーで京都。しゅららぼんで滋賀。まだ読んでないけどプリンセストヨトミは大阪?
ちゃくちゃくと関西制覇を目指しているようです。

他の万城目作品と同じく、地域性と古の伝説なんかをうまく組み合わせて話が展開していきます。
青春ものっちゃぁ青春もの?主人公が二十代後半なので微妙なところですが、けっこう青春オーラはでてましたよ(舞台は女子高だし)。
ひょんなことから、伝承、伝説的なやっかいごとに巻き込まれていくのはお決まりのパターンでも、それぞれにその地域の特色を交えているから、マンネリせずに楽しめました。

私的に、けっこう主人公の男性に共感。
年齢とか、神経質系なところとか、どことなく他人事とは思えない。
それなりに”いい歳”なんだけれども、なんか大人になりきれていると自覚できないようなもどかしさ。
特に主人公の場合、大学の研究室にとどまっているところから、そういう社会との接点みたいな希薄さもあってのことかと。
それが、ちょっとしたことがきっかけで女子高の臨時教員になって、そして次第に自分の道を再発見していくところなど、けっこう感情移入していくところもありました。
ストーリーの面白さよりも、そこらへんにグッときたかも。
(もちろんストーリーも楽しめましたよ!)

この小説で、奈良の鹿は知的な感じに描かれています。
私の思い出としては奈良の鹿はとにかくアグレッシブ。
鹿せんべいでも手に持とうものならば、集団で取り囲んできて、がしがし体当たりしてくるしまつ。
特に東大寺の周辺の鹿が強烈でした。もう、二度とあの周辺で鹿せんべいは買うまいと思うほど。

そんな奈良思い出にも浸りつつ、万城目ワールドを堪能いたしました。


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拝啓、琵琶湖様 『偉大なる、しゅららぼん』

偉大なる、しゅららぼん偉大なる、しゅららぼん
(2011/04/26)
万城目 学

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ローカル超能力


万城目学の最新作にして、大傑作!!!
琵琶湖畔の街・石走に住み続ける日出家と棗家には、代々受け継がれてきた「力」があった。高校に入学した日出涼介、日出淡十郎、棗広海が偶然同じクラスになった時、力で力を洗う戦いの幕が上がった! (内容紹介より)


●2012年本屋大賞9位作品

2012年「本屋大賞」にて9位を受賞した作品。
『鴨川ホルモー』などの作者、万城目学さんのSF青春小説(ギャグ)です。

古より伝わる琵琶湖の力を受け継ぐ一族の、宿命の戦いを描いた作品。
ベースは青春とギャグなのですが、骨格にはSFが一本通っている感じです。

『鴨川ホルモー』も面白かったですが、個人的にはこの『偉大なるしゅららぼん』のほうが好みです。
勢いだとか、笑わせどころのリズムがとても良くなっていることや、主人公たちの一族の秘密がなかなか明かされないので、それが気になるのもあって、最期まで飽きることなく読み進められました。

『ホルモー』も『しゅららぼん』も変わった”音”です。
目にして、口にして、耳にした瞬間「?」と疑問がわきます。
「これはいったいなんなのだろう?」と。

読み進めていくうちに、それがなんなのか分かってくる。
それにはちゃんと意味があることが分かってくると、このへんてこなタイトルに妙な親近感が湧いてくるようです。
読み終わってみると「確かにしゅららぼんだった。」っと読まない人にはまったくわからない、妙な納得感が自分の中に芽生えました。

●琵琶湖に思いをはせ

この手の小説(ギャグ+青春+SF)は舞台が京都が多かったので(森見登美彦作品など)、滋賀は妙な新鮮さがあります。
ほとんど足を踏み入れたことのない滋賀。
琵琶湖もきちんと見たことがありません。
だからこそ、想像の中で舞台のイメージがぐんぐん広がっていきます。

関西において水源地として人々に恵みを与え続けてきた琵琶湖。
その琵琶湖には不思議な力があって、それを受け継ぐ一族が今でも住んでいる。

あるはずはないのですが、なくもないようなその設定。
そういう、限りなくリアルに食い込んだSF風味が、青春ギャグにアクセントを加えてくれます。
それがなければ、ややのっぺりとした読み応えしか残らないのかもしれません。

万城目作品をこれから読んでみようと思う方には、『ホルモー』よりも『しゅららぼん』のほうがとっつきやすいでしょう。
大いなる琵琶湖に思いをはせて。「しゅららぼん」という音の響きに身をゆだね。
軽快な青春ギャグのリズムを楽しむのもアリです。

ps
『ホルモー』より『しゅららぼん』のほうが映画化しやすいかも。起承転結具合が、2時間ものの映画に近いまとまり具合です。『ホルモー』、『プリンセストヨトミ』からいくと、次に映画化される万城目作品は、かなりの確率で『しゅららぼん』だと思っています。



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ホルモー六景 (角川文庫)ホルモー六景 (角川文庫)
(2010/11/25)
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人には言えぬ部活動

このごろ都にはやるもの、恋文、凡ちゃん、二人静。四神見える学舎の、威信を賭けます若人ら、負けて雄叫びなるものかと、今日も京にて狂になり、励むは御存知、是れ「ホルモー」。負けたら御存知、其れ「ホルモー」。このごろ都にはやるもの。元カレ、合コン、古長持。祗園祭の宵山に、浴衣で駆けます若人ら、オニと戯れ空騒ぎ、友と戯れ阿呆踊り。四神見える王城の地に、今宵も干戈の響きあり。挑むは御存知、是れ「ホルモー」。負けたら御存知、其れ「ホルモー」。古今東西入り乱れ、神出鬼没の法螺試合、若者たちは恋謳い、魑魅魍魎は天翔る。京都の街に咲き誇る、百花繚乱恋模様。都大路に鳴り渡る、伝説復古の大号令。変幻自在の第二幕、その名も堂々「ホルモー六景」、ここに推参。(「BOOK」データベースより)


●「あるんじゃないか?」と思わせる

この前紹介した、『鴨川ホルモー』の続巻です。
今回の話は、個々人のストーリーに目を向けた形。
場所や時空を超えた、笑いと青春の短編がつらなります。

この小説の良いところは、京都の有名大学が実名ででてくるところ。
ここで起こってることは、実際にあるんじゃないかとチラリと思わされます。
(「実在の場所、人物とは関係ありません」とありますが。。。)

架空の場所が舞台の小説よりも、実際の場所を舞台にしたほうがイメージは膨らみやすいです。
また、実際の大学名を使うことで、なんとなくその大学のカラーを思い浮かべながら、キャラクターに思い巡らすことができるのも、この小説のいいところ。
実際のものとリンクして膨らんでいくイメージは、小説の面白さにさらに味を加えてくれました。

●キャラクターひとりひとり

今回の『ホルモー六景』は、短編集です。
主人公たちが通う大学を飛び出して、ホルモーのライバル校の生徒たちに焦点をあてた作品なども多数。
『鴨川ホルモー』のストーリーが進んでいる間に、他の場所では何が起こっていたのかなど、前作の内容とリンクした話もあります。

京都津々浦々、ところによっては東京であったり、時空を超えたり。
キャラクターひとりひとりの個性がくっきりしながら、展開していくストーリー。
前作で曖昧だったものも、ちょっとだけ鮮明になってきます。

本作、短編なだけに前作よりもさらにゆるい雰囲気。
今回も気軽にゆったり楽しめました。



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