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『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』~自信を持てないジェネレーション~

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
(2013/04/12)
村上 春樹

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お暑い日が続きます。
連日の猛暑で、読書するのもダレがちですが、日頃の習慣。毎夜、本の世界を楽しんでおります。

しばらく前に話題になった村上春樹の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』。
思ってたよりも早く図書館に入ったので、借りてみました。

ここ最近、ハリーポッターを読み続け、魔法とファンタジーの世界にどっぷり浸かっていたので、この多崎つくるはなかなか重めに感じました。
ハリーが空想ファンタジーで現実を一時忘れられるとすれば多崎つくるは人間の内面に向き合わされながら現実を直視させられる感じでしょうか。

何冊か村上春樹作品を読んできましたが、この本はなんだか小難しい印象を受けます。
ストーリーというよりも、キャラクターたちがなんだか小難しい。
『1Q84』にも似た印象をうけましたが、あれはストーリーが長かったのでまだ受け入れ易かったのですが。
多崎つくるにおいては、そのキャラクターの小難しさ(考え方やセリフまわし)がちょいと気になりました。
今まで読んだ村上春樹作品のキャラクターたちも小難しいっちゃ小難しいのですが、それを感じさせないさらりとした感があった。
それだけに、本作ではそれがなかったのが若干残念でした。

度々、他の村上作品と比較してもうしわけありませんが、本作の主人公はさほど複雑な境遇におかれていません。
(他の作品は、なかなかありえない境遇(シチュエーション、生い立ち)に身を置いていたので)
わりと裕福な身の上で、順風満帆な成長の中での、人間関係によるつまずき。そしてそれに伴う人間形成。
ある意味で、とても普通でリアル。一般的な大人が大なり小なり経験したであろう、見に覚えがあるであろう、そんな生い立ち。
そして、それに伴う、大人になってから抱える、形の掴みづらい劣等感のようなもの、あるいは傷。
それを抱えながら生きている主人公に対し、好き嫌いはあるでしょうが、なんとなく自己投影してしまうのではないでしょうか。

多崎つくるでは学生時代の出来事が、キーとなってきます。
なんだか読んでいるうちに『桐島、部活やめるってよ』にも通じる、ポジショニングやヒエラルキーについて感じさせられたり。。。
本作の中で主人公がいた場所は、安定はしているのだけれども、仲間内から要求されるポジションのようなものがあったり。
安定を保つために、ポジションを期待される。そこから外れると、全てが崩壊する、そんな危うさ。
充実していながらも、気づいたときには息苦しさを感じずにはいられないような、そんな学生時代の居場所。
ちょいと離れて見てみると、いかに柔軟性のないものかと、悲しくなるような関係性の中で、主人公は形成し壊れていきます。

私の場合も、それなりに、自己投影してしまい、面白くない気持ちを抱きつつも、主人公の心持ちにちょいと共感すら覚えました。
そう、面白くないんですよ。ストーリーとかじゃなくて、心持ちの問題。
なんだか、見たくない部分を整理して提供されているような感じもあって。
どちらかといえば、主人公にとって蓋しておきたい事柄が、周りの影響もあって、次々と引っ張り出されてくる。
無視しておくこともできるけど、それには強烈な吸引力がある。蓋を開けてしまったら、もうそれをほうっておくのも気分が悪い。
おそらく、誰にでもそういう部分ってあるんだと思います。真っ向から見据えることができる人もいれば、それが嫌な人もいる。
そういう人にとって、この本は、どこかで面白くない感情を抱かせるモノを持っていると思います。

主人公は、外部的圧力(?)によってそれを見据えることになっていくのですが・・・
この多崎つくるの場合にもどうにもすっきりしない幕切れでした。
他の作品にも言えることですが、最後の一口で喉に魚の骨がつっかえた感じ。
飲み込もうにも飲み込めない。
本作に関しては、微妙な感覚が引っかかって終了。ここで終わりっちゃ終われるんだけど、でも何か。。。
掴めそうでつかめない、もどかしい気持ち悪さ。なんともいえない質感。
そういう部分が村上春樹の味であり、魅力なのでしょう。もちろん好き嫌いはあるでしょうが。


本書の中で気になった言葉。
僕にはたぶん自分というものがないからだよ。これという個性もなければ、鮮やかな色彩もない。こちらから差し出せるものは何ひとつ持ちあわせていない。そのことがずっと昔から僕の抱えていた問題だった。入れ物としてはある程度形をなしているかもしれないけど、その中には内容と呼べるものはろくすっぽない。」

たしかにこういう不安を持つ人もいるでしょう。これに対して、老子の

粘土をこねくって、ひとつの器(うつわ)をつくるんだが、器は、かならず、中がくられて空(うつろ)になっている。この空(うつろ)の部分があってはじめて、器は役に立つ。中がつまっていたら、何の役にも立ちやしない。
(中略)これで分かるように私たちは物が役立つとおもうけれどじつは物の内側の、何もない虚(きょ)のスペースこそ、本当に役に立っているのだ
。(BSジャパンー道~タオ・老子~より転載)」
を思いうかべました。私は空は空なりの魅力や用があると思います。


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『走ることについて語るときに僕の語ること 』~スポーティー村上春樹~

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)
(2010/06/10)
村上 春樹

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村上春樹さんがこんなにも体育会系だったとは。
前編これマラソン&トライアスロン。
とにかく走ることで埋め尽くされるよう。
この一冊だけでもフルマラソンの話がどれだけでてくるか。。。

本書はエッセイ形式。
走ることを趣味(生活の一部)にする村上春樹さんが、走りながら何を思い、そして走りに何を見出すかについて語った本。
小説とは違う、著者の人間的魅力が垣間見える本。

とにかくストイック。
10kmほど走ることを日課としているほど、走ることと共にある人生。

走ることで肉体を高めていき、やがてそれは小説へと還元される。
たしかに体力がなければ創作活動って息詰まるもの。
(一部の天才は、死にかけのボロボロのときに名作を生み出すこともあるけれど、あくまで例外)
体力が無いと集中力も持続しないし、、、
やっぱり元気がないと、なにごともうまくいかないのが世の理。

小説家という座業を宿命とした仕事。
そんな中で、いかに自分の肉体管理を行っていくか。
自分の体のコンディションと小説の出来は連携するということを意識して、日々の走りを続ける村上春樹さんはあるいみ職人。
職業意識の高さが伺えます。

いかにして走るようになったのか、また村上春樹文学がどのようにして生まれるようになったかへの言及もあり。
「さすがノーベル賞候補は違うな」と思わされるところもありつつ、非常に人間臭いところもありつつで、全体的なストイックさの中にもおもしろみのある本でした。

私は、仕事柄座りっぱなし&万年運動不足。
日々肩こりや節々の不調を感じつつなかなか日常的運動に踏み込めない弱さがあります。
(最近ちょこっと自宅ヨガをはじめたけれど)
この前読んだ『佐藤可士和さん、仕事って楽しいですか? 』にも、佐藤可士和さんがウォーキングやジム通いがあることで、仕事の質が高められるとあったし。

やっぱり体が資本だなぁ。
この本読んで一番感じたことは「運動しなきゃ」ってことでした。

(本書は小説ではありませんがカテゴリーは小説「村上春樹」としました。)

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『ノルウェイの森(下)』~若さと不自由さ~

ノルウェイの森(下)ノルウェイの森(下)
(1987/09/10)
村上 春樹

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「下」を読み終わり、しばし放心状態。
一息、体の中の息を全部吐ききって、リセット。

うーん、重苦しい話でした。
嫌な重苦しさ(ズシーンとくる感じ)ではないんですけれどそれでも、もやもやが残る。
具体的にこうという形のない、モヤモヤしたものだけに余計そう感じるのかもしれません。

主人公と恋人、そしてそれをとりまく多々の環境。
若さや未熟さに由来する、不自由な感じが漂っています。
自分のとった行動が、正しいのか正しくないのか。答えなんてないのだけれど。
そういう自らが作った制約に縛られて、柔軟性をどんどん失っていく感じ。
それに追い討ちをかける状況の過酷さ。
ハッピーではないほうの、出来すぎたストーリー。

読み終わって、放心状態になって。
もやもやしたものが次第に晴れていって。
すーっとした状態は、他の本には感じられない清浄さらしきものが。
これってなんでしょうか。
以前何かで読んだ、カタルシスってやつなのかも。
物語としての悲劇によって浄化される、みたいな。

これまで『アフターダーク』、『1Q84』と読んだ中では、『ノルウェイの森』が一番好みです。ひねてなく、ストンとまとまっていて。
それでも最後の部分に、ひっかかりが残されてはいるのですが・・・
それが逆に鮮烈さを高めているような気がします。



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『ノルウェイの森(上)』~物悲しい青春~

ノルウェイの森(上)ノルウェイの森(上)
(1987/09/10)
村上 春樹

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松山ケンイチ主演で映画化もされた、村上春樹の本。
日本のみならず、世界でも評価の高いとされる小説。

名作の定義のひとつに、「色あせないって」いうのがあると思います。
たとえどんなに昔に書かれた話であっても、どの時代でも新鮮な感動を与えてくれる。
おそらく普遍的な何かをうまくすくいだしているからこそ、それが可能なのでしょう。

そう言う意味では、この『ノルウェイの森』も名作の部類にはいるでしょう。
書かれたのが1987年。いまから25年以上前。
なのに、2013年の今読んでも、話からすごい瑞々しさが感じられます。
同じく村上春樹の『1Q84』と比べても、そこに時代的な差というものが感じられません。
(小説には時代が経ると古臭さがでてくるものがあるけれど、ここにはない)

いわゆる青春恋愛もの。
時は60年代で、主人公は大学生。まだ20にならない。
ニヒルでもないけれど、どこか熱くなれない性格で、自分というものの実感がつかめないもどかしさのようなものがただよう青年。
直子という亡き親友の恋人と、近づくことから物語は展開していって。。。

なんだか全体的に重いし、息苦しいんだけれど清らかなイメージ。
タイトルじゃないけれど、深く霧の立ち込めた森にいるような小説。

主人公の周りを、目にはみえない圧力のようなものが次第に濃くなっていく雰囲気がやりきれない。
子供ではないし、大人でもない。そしてなによりも不器用だからこそ、ゆっくりとした苦しみが沈殿しているよう。
青春ってものの、薄暗くやりきれない面を体現したような主人公が、恋をしようとする話。

上巻を読んだだけで、かなり胸にじーんとくるものがありました。
楽しいとか面白いとかでは全然違うのだけれども、それでも感情の中には必要で、少しあるくらいが心地よい感情。
たぶん悲しいと切ないの中間ぐらいでしょうか。

あんまり、冬の夜長に読むには適しているとは言い難いけれど、読んでおいたほうが良い小説。


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『1Q84 BOOK 3』~様々な可能性~

1Q84 BOOK 31Q84 BOOK 3
(2010/04/16)
村上 春樹

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読み終わってしまった。
そして・・・うーんわからない。

BOOK1とBOOK2とで謎を解き明かす鍵が提示されて・・・
BOOK3でそれらの謎が全部解るのかと思いきや大違い。
前二作に比べて、より難解な謎を残す巻となりました。

『1Q84』が発売された頃、NHKの特集で見た光景。
何人かの若者が寄り集まって、『1Q84』について語り合うというもの。
その時は、この本がどんなものかもわからず、その若者たちは感想の言い合いをしているだけかと思っていました。あそこが面白かった、ここが良かった・・・などの類。
今、読み終えて感じたことは、彼らもそれぞれがさっぱりわからないままで本を読み終えたのであろうなということ。
一人の力ではどうもわからないし、解釈に苦しむ。そこで人が集まり、この本に隠されている謎を解き明かそうとしていたのではないか。
複数人いることで、多数の意見が集まる。それらで一つ一つのピースを埋めながら、なんとか論理だてた解釈を見つけられないか探ってみる。
おそらく若者たちはそういうことをしていたんじゃないかと思います。

聖書とか聖典といったものをイメージしました。
そこに書かれていることは一つの物語でも、その解釈は無数にあります。
一つの宗教でも、解釈の違いで多数の宗派が生まれていく。
『1Q84』は現時点では明確な答えなんてなく、むしろ人それぞれの解釈に委ねる形でしょう。
それぞれの解釈が枝葉のように広がっていって、それらの最大公約数的なものが見つけられたら、とりあえずは納得できるのかななんて思ったり。。。

多くの人に引っかかるものがあちこちに散りばめられており、どこに引っかかるかはその人次第。
やたら名言調の台詞が多く、わかった気になりながら、その実なーんもわかっていなのかも知れません。
私も読んでいる時や、読後にそれなりに感じるものがありましたが、それらすべてしっくりこないものなので、うまく言葉にできません。あしからず。

『1Q84』のQはQuestionのQだったんだろうなっと、村上春樹氏の謎かけと勝手に解釈して読了。

・・・・・・果たしてこれで終わりなのだろうか?それともBOOK4は出るのだろうか?
しっくりきていない私としては出て欲しいところです。

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