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『グラスホッパー (角川文庫)』~特殊殺し屋達のバトル~

伊坂 幸太郎
02 /17 2013
グラスホッパー (角川文庫)グラスホッパー (角川文庫)
(2007/06/23)
伊坂 幸太郎

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今年度から、ちょくちょく読み始めた伊坂幸太郎作品。
三冊目は一風変わった殺し屋達の戦いを描いた作品です。

私が読んだのは旧表紙ですが、画像は現在刊行されているバージョンでしょうか。
小説内にでてくる、三人の殺し屋のイラストです。

伊坂幸太郎の『魔王』を原作にした同名の漫画がありますが、その中にもこの三人がでてきます。
漫画は『魔王』と『グラスホッパー』が混ざっていたのを、今回初めて知りました。

私は漫画を先に読んでいたので、キャラクター達の特徴は大体分かっていましたが、こうやって活字で読むと違った印象。
漫画だと添え物的な扱いだった殺し屋達がここではメイン。
それぞれの性格やバックグラウンドが深く掘り下げられており、三人の特殊さが浮き彫りになった感じ。
ただ、残念なのは三人とも派手なタイプのキャラクターではないので、バトル(バトルといえるのかどうか?)も比較的動きの少ない展開。
それでも、それなりにひねりが効いていて見所はありました。

全体的に面白くはあったのですが、台詞がちょっとくさい。
ここでいうくさいは、演技がくさいとかのくさい。
どうも、名言とか名台詞調にしようとしているのが、気になってしまいました。
(村上春樹作品ではそういう所もすんなり受け入れられたのですが、伊坂幸太郎作品ではどうも気になる)
登場人物によってはもっとさらりとしててもいいんじゃない?って思いますが、そのへんのところも作家の味なのでしょう。(私は『ゴールデンスランバー』のほうが好みです)

小説、『魔王』と『グラスホッパー』を読み終わったら、また『魔王(漫画)』を読みたくなったので、押入れからひっぱりだしたいと思います。


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伊坂 幸太郎
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伊坂 幸太郎

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●大衆心理と伊坂作品

『魔王』以来の伊坂幸太郎氏、二冊目。
気にはなっていたものの、読まず嫌いみたいな感じでなんとなく敬遠していた作品。

普段あまり本を読まない友人が、「伊坂幸太郎ってイイぜ!」みたいな感じで、熱をあげておりました。
どうも、周りがそんな状態でなおかつ自分が後続となった場合、いまいちとっつきにくくなるようで。
そういうこともあり、伊坂幸太郎作品はあえて読まないようにしてきた節があり、そろそろ手をだしてみようかなって気に最近ようやくなりました。

『魔王』に続いて『ゴールデンスランバー』。
どちらとも、”大衆”という漠然としたものを上手くつかみだしていると思います。
メディアをはじめ、毎日聞こえてくる「民意」とか「普通」とかそういった大衆心理に属するもの。
気にしなければなんてことはないのだけれど、気にしだすとその正体の見えない大きなものに恐怖を覚えます。
ほんとうに、我々の意思は自由意思なのか。なにかの情報操作や場のノリで意志や思想、行動なんて簡単に変わってしまうものではないのか。
伊坂氏の作品はそういう危険性の指摘、抽出が上手いなぁと感じます。
そういう見過ごしがちな当たり前のものへの”気づき”が得られる部分に、熱狂的なファンがつくのかなと分析してみたり。。。

とんでもない状況に身を置くことになる主人公。
ラストの方。いよいよ自分の行く末が決まるという重要な場面で、ふと聞こえてくる新聞配達のバイクの音。
”「今ここで俺が大変な事態に巻き込まれている時にも、新聞配達人は自分の仕事をこなしている。」”

こういう、ちょっとしたところの描き方。
これ一つで、私の主人公への共感度は一気にあがりました。
ここってちょっと哲学的かも。考えさせられるし、近いことはだれもが感じたことがあるはずだし。
ああ、この人もその他大勢の延長線上のはずなのに。。。ちょっとしたきっかけでこうならないとも限らない恐ろしさ。

普遍性とか当たり前を上手く掴んだ作家は強いなぁと感じます。


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●2年ほど積ん読

私はあまり積ん読(本を読まずに放置すること)しないほうですが、この本は2年間放置していました。
このほど、「えいやっ!!」と決心して読了。
感想は「思っていたより面白かった。」です。

この魔王という作品はコミック化もされています。
小説を買った同時期にそのコミックを読み出したので、なんだか内容を先分かりしてしまったようで、原作を放置していました。

どんな本でもそうですが、原作とそれをもとにしてつくられた作品は全然違いますね。
話の中の登場人物たちは”特殊な能力”持っています。
その部分を、コミックではかなりSF要素が強く描かれていましたが、原作ではわりとあっさり目に描写されていました。

●大衆不安

コミックだとどうしてもその能力部分に目が行きがちだったのが、原作部分では抑え気味だったのでストーリーをより良く味わえた感じです。
不穏な社会、台頭するカリスマ、流される大衆、盲信から生まれる恐怖…
結局、だれが正しいことをしていたのか。世論とは何なのか。
不安定な現代だからこそ考えさせられるテーマがあちこちに見受けられる作品でした。

●読まず嫌いは…

作者は今をときめく人気作家の伊坂幸太郎さん。
遅ればせながら、この『魔王』が私の伊坂作品デビュー。

色んな人から伊坂幸太郎作品の良さは聞いていましたが、そんな評判を聞くと変な天邪鬼が働いて、読んでみようという気分がなかなかおこりませんでした。

そんで、実際読んでみると面白かった。
もっと早くに読んでみればよかった。
本に対する意固地さを持ってると、損するなぁと改めて思う夏の日でした。



こちらがコミック版↓
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大須賀 めぐみ

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