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『忍びの国』~戦国時代の片隅~

和田 竜
08 /27 2013
忍びの国忍びの国
(2008/05)
和田 竜

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『のぼうの城』の作者、和田竜さんの作品。
今回は伊賀忍者に焦点をあてた、歴史アクション物。

学校の歴史で習ったのか、習わなかったのか。
織田信長の息子、信雄による伊賀攻めの史実。
天正伊賀の乱というその戦。弱小の伊賀がいかにして織田信雄軍と戦ったのか。
躍動感に満ちあふれた筆致で、その戦が描かれています。

のぼうの城もそうでしたが、弱小の軍が大群を打ち負かすというのはなんともスカッとするものがあります。
圧倒的不利を、技術、知恵、決断力などを武器にして打ち破る。
強大な権力に立ち向かうその姿勢。いま話題の半沢直樹にも見られる、古今東西を通じて普遍的人気を誇るものでしょう。

『忍びの国』の場合もおおよそ、技術、知恵、決断力を武器にして戦ってはいますが、他とちょいと違うのが主人公たちが忍者だということ。
他の忍者物のように、ヒーローのように扱われることはなく、特殊技術を持ったスパイ、暗殺集団のような描かれ方です。
一般的な倫理を持ち合わせておらず、金のために動くという姿勢。
リアルな忍者像がそこにあり、群れることのない彼らがいかにして織田軍と戦ったのか。
その当時の忍者のありようがわかり、また忍術というものがどんなものだったかの描写もあり、忍者というものがどういうものだったかというのが分かったりするところも面白かったりします。

和田竜さんの小説。
時代は戦国時代なんだけれども、キャラクター、特に主人公などは結構現代的に描かれており、堅苦しさがないので気楽に楽しめるところが良い(映画ではそこがひっかかったりしたけれども)。
『忍びの国』の主人公無門の口調もだるそうな現代の若者のごときに描かれており、そのゆるさがなんだか良い。
けれども、いざとなると、伊賀随一の働きを見せるというギャップも主人公としてグッド。
天正伊賀の乱だけを、史実に忠実に描いただけならば、ダレるであろう内容を、この無門というキャラクターの振る舞いや心情がいい味付けをしていて、歴史エンターテイメントとして面白いものに仕上がっています。

『のぼうの城』を観たり読んだりして、面白いと思った人にはおすすめな作品。
歴史ものですが、小説である以上いくらかはフィクションがまじっているのであしからず。


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のぼうの城のぼうの城
(2007/11/28)
和田 竜

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石田三成のへの考え方が変わりました。

●映画は上手に原作を表現していました

邦画で、今年一番といっていいヒットを飛ばしている『のぼうの城』
私も観ましたが、割とこった映像表現や、役者陣の演技も良く大変楽しめました。
さて、そんな大ヒットの映画の原作です。

表紙のオノナツメさんの絵が印象的なこの作品。
気にはなっていたのですが、映画を観るまで読むのを我慢し続けてきました。
(原作を読んだあとに映画を観ると、がっかりすることが多いので。その逆だと楽しめることのほうが多い)

原作を読んで、改めて映画のすごさを再確認。
かなり原作に近い形で再現できていました。キャラクター一人ひとりの描写も、役者さんがうまいこと演じています。(榮倉奈々さんや成宮君の演技がなんであんなに現代風なのか疑問に思っていましたが、原作でもわりと現代風キャラに描いている)
話題の水責めのシーンなども、表現が難しそうなシーンながら、実に上手く映像化しています。
当時、ほんとうにこんな感じだったのだなぁと思いをはせることができるだけの力をもった映像でした。

●映画でわからないことも、原作ですっきり

今回、原作を読んで、映画で理解できなかった部分もだいぶわかって満足。その点も後に原作を読むことの魅力の一つ。
成田長親の人物像や心情、登場人物や歴史の背景などは、映画ではあまり描かれない部分なので、これは本を読んだほうがしっくりきます。

映画で一番わからなかったのが、露天風呂のシーン。
秀吉が遠征先で露天風呂にずかずか入っていくシーンがあります。
映画では、着衣の女性が数人入っており、秀吉が入ってくるなり「きゃーっ!」と言って戸惑うというものでした。
何がわからなかったかというと、あの女性たちは何なのかということ。
なぜ着衣で温泉に入っており、しかも秀吉が入ってくることで戸惑うのか。
そのへんの答えがないまま、話は進んでいくので、若干こんがらがってしまった部分でもありました。
原作では、そこは露天風呂で秀吉と遊女が戯れるというシーン。もちろん着衣ではありません。
おそらく、ファミリー層向けや映画の品格を意識した上での、苦肉の表現だったのでしょうが、ちょっとひねりすぎたかも。
原作を読まなければ、ずっとわからずにしっくりこないシーンのままだったかもしれません。
(なにかのニュースで読みましたが、監督も露天風呂のシーンが一番難しかったと語っておりました)

江戸期は好きですが、これまであまり戦国時代に興味をもったことはありませんでした。
しかし、この作品を知って、今までは徳川家康に負けた存在としか捉えていなかった石田三成が、じつは魅力的な人物だったのではないかなどの興味がでてきました。
そういう、歴史のおもしろさに目を開かせる要素も持った、すぐれたエンターテイメント作品です。

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ちなみに、『のぼうの城』は漫画にもなっています。
これだけブームになっているのに、あまり本屋さんでは見かけませんが。

作者は、小説の表紙を担当したオノナツメさんかと思いきや、料理漫画の金字塔『美味しんぼ』の作画担当花咲アキラ氏。
花咲氏が描いた『美味しんぼ』以外の作品ということで一時密かに盛り上がりを見せました。

私もちらりと読みましたが、「えっ?これって山岡さんや近城さんじゃ・・・」って感じのキャラクター表現でした。
面白いかどうかは別として、話のタネにはなるのかも。。。
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(2009/05/29)
花咲アキラ

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