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ていねいな文章 『城の崎にて・小僧の神様 (角川文庫)』

城の崎にて・小僧の神様 (角川文庫)城の崎にて・小僧の神様 (角川文庫)
(1954/03)
志賀 直哉

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当たり前の”負の面”


円熟期の作品から厳選された短編集。交通事故の予後療養に赴いた折の実際の出来事を清澄な目で凝視した「城の崎にて」等18編。(出版社/著者からの内容紹介)


「発見!角川文庫祭2012」 収録


●フェアにつられて

このごろ本屋に行くと「発見!角川文庫祭り2012」「ナツイチ」「新潮文庫の100冊」など、各出版社の特選コーナーができあがってます。
それらの無料小冊子を持って帰り、どんなラインナップがあるのかとペラペラ流し読み。
その中で気に入ったものが何冊かあったので、古本でたくさん購入しました。
(ラインナップは何も新作ばかりではないので、結構古本屋でもそろう)

『城の崎にて・小僧の神様』もそのうちの一つ。
いままで、志賀直哉は名前しか知らなかったので、いい機会にと読んでみました。

●おもしろみよりも

こういうのを純文学というのでしょうか。
淡々と、短篇集が展開。
明治、大正の情景が丁寧にていねいに流れていきます。

正直、おもしろみという面からみると、ちっともおもしろくない。
ドラマティックでもないし、心情の高ぶりを描くものでもない。
ただただ、ずっと淡々とした描写が続くのみ。

おもしろみは感じられないかわりに、淡白な味わいならあります。
まるで上品なお吸い物のよう。
激しさはないですが、するすると感じられてくる淡い魅力。
銀の匙を読んだ時にも似たような感覚を覚えました。)

●淡々

書かれている内容は、大体が明治や大正時代の話です。
もちろん現代と生活スタイルも、文化もまったく違う時代。

普通なら、登場人物たちとのギャップを強く感じるのでしょうが、不思議とそれほど感じない。
丁寧な文章はこびによって、出てくる人たちへの不思議な共感めいたものさえ感じます。

収録されている話、どれも日常のとある部分をきりとったような話。
ハッピーな話よりも、すこし負の面のあるような話が多かったです。

ただ、それがきつくない。日常に、当たり前に組み込まれた負の面。誰にでもあるような。
やわらかく描写された、生活の負の面。
それも、淡々と流れていって…

結局、人のいとなみはドラマティックなものではなく、こうした淡々としたことの積み重ねなんだなという感じがしました。
ある意味で、すごくリアリティーのある小説かもしれません。



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