FC2ブログ

東野圭吾のブラックな短篇集 『歪笑小説』

東野 圭吾
04 /03 2012
歪笑小説 (集英社文庫)歪笑小説 (集英社文庫)
(2012/01/20)
東野 圭吾

商品詳細を見る


ベストセラー作家の裏の顔


新人編集者が目の当たりにした、常識破りのあの手この手を連発する伝説の編集者。自作のドラマ化話に舞い上がり、美人担当者に恋心を抱く、全く売れない若手作家。出版社のゴルフコンペに初参加して大物作家に翻弄されるヒット作症候群の新鋭…俳優、読者、書店、家族を巻き込んで作家の身近は事件がいっぱい。ブラックな笑い満載!小説業界の内幕を描く連続ドラマ。とっておきの文庫オリジナル。(「BOOK」データベースより)



●東野圭吾と言えば?

私は東野圭吾氏の本に関しては、代表作を読んだことがありません。
(白夜光、幻夜、秘密etc…)

その理由は、私が東野氏の小説に入ったのは、この○笑小説シリーズだからです。
私にとっての東野圭吾は、かなりブラックユーモアの効いた短編の名手!
だから、いまだミステリーに手を付けてないわけです。

●○笑小説シリーズ

以前紹介した『怪笑小説』から数えて4つ目の作品。
怪笑、毒笑、黒笑ときて今作は「歪笑(わいしょう)」です。
どの作品も、短編で構成されており、ストーリー自体はまったく関連性はありませんが…
ひねくれた笑いのエッセンスは一貫されています。

今作の舞台は出版社。
様々な編集者、作家、取り巻く人々のこんがらがった人間ドラマ。
小説の世界にどっぷり身をおく、東野圭吾氏だからこそ描ける、出版業界の裏側を皮肉ったような話がてんこ盛りです。

「誰が読んでいるのかわからない小説雑誌はなぜ出版されるのか?」に言及した話。
この『歪笑小説』がいきなり文庫本になって登場した経緯もあって、じりじりした面白みがあります。
楽屋ネタと暴露ネタをうまいこと組み合わせたような毒っぽさが全体にありつつ、同時にちょっとほっこりさせるような内容もあり、だれることなく楽しめました。

●ミステリーだったり、歪んでみたり

怪笑や毒笑は非現実的な要素の笑いが多かったのに対し、黒笑と歪笑小説は現実の中に潜む笑いをすくい上げています。
世間のことを、少しひねくれた目で見ないとこれだけのブラックユーモアはひねり出せないでしょう。

ミステリーの大人気作家、東野圭吾のもう一つのスタイル。
それはブラックユーモアで練り上げた、歪んだ笑いのパラダイスです。



関連記事
人気推理作家のブラックユーモア 『怪笑小説』
1951年芥川賞受賞  『壁』 

スポンサーサイト

人気推理作家のブラックユーモア 『怪笑小説』

東野 圭吾
04 /18 2011
怪笑小説 (集英社文庫)怪笑小説 (集英社文庫)
(1998/08/20)
東野 圭吾

商品詳細を見る


じっとりこみあげてくる笑い


年金暮らしの老女が芸能人の“おっかけ”にハマり、乏しい財産を使い果たしていく「おつかけバアさん」、“タヌキには超能力がある、UFOの正体は文福茶釜である”という説に命を賭ける男の「超たぬき理論」、周りの人間たちが人間以外の動物に見えてしまう中学生の悲劇「動物家族」…etc.ちょっとブラックで、怖くて、なんともおかしい人間たち!多彩な味つけの傑作短篇集。 (「BOOK」データベースより)


人気作家、東野圭吾さんのブラックユーモアあふれる短編集です。
東野氏は『探偵ガリレオ』や『白夜行』などの推理小説を数多く送り出しています。

この小説に関しては、推理などまったく関係なし。
黒くて笑える話が盛り込まれています。

私は、あまり東野圭吾の小説を読んだことがありませんでした。
唯一『探偵ガリレオ』を読んだことがあるぐらいで、他の作品には手が伸びていません。

この本を手に取ったきっかけは、フジテレビの『世にも奇妙な物語』
その中で、この小説の続編の『毒笑小説 』に出てくる話を原作にした話がありました。
「マニュアル警察」というタイトルで、自首をしようとする男とマニュアルを厳守する警察署との不条理でブラックユーモアの効いた内容でした。


さて、その『毒笑小説 』の前身となるこの『怪笑小説』。
タイトルどおりの怪しい笑いに満ちています。

私が特に好きなのは、「しかばね台分譲住宅」という話。
ある日、平和なニュータウンの路上で死体が落ちていた。これは殺人事件か・・・警察に届けなければ・・・しかしこのことがニュースになるとこの辺の評判が落ちるぞ・・・そうだ、こっそり隣町へ置いてきちゃえ!!・・・
一つの死体をきっかけに明後日の方向へ迷走をはじめるニュータウンの住民たちは・・・。

話の入りは、死体が放置されているといった緊迫したシーンです。
住民があつまり、事件性を論じ合う中、この死体によって生じる不利益について話題が移行していきます。
死体という非日常性の高い物を目の前に、あくまで現実的で利己的な人間達の様子のコントラスト。
短い話の中で綺麗にまとまっており、なおかつ皮肉も効いていて上質のコメディーに仕上がっています。

他に収録されている話も、さらりとした笑いでなく、皮肉、風刺の効いた濃い笑いです。
ブラックユーモアであっても人間性に根ざした笑いのほうが、満足を与えてくれるもんです。

図書館男子

図書館好きの管理人が、様々なジャンルの本を紹介しています。特にお気に入りなのは、江戸、落語、アート、デザイン系の本。相互リンク随時募集中!

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。