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未知への青春 『青年は荒野をめざす』

青年は荒野をめざす (文春文庫)青年は荒野をめざす (文春文庫)
(1974/01)
五木 寛之

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荒野というメタファー

ぼくらにとって音楽とは何か? セックスとは? 人間とは? 放浪とは? 燃焼する人生を求め、トランペットひとつかかえて荒野をめざす青年ジュンの痛快無類のヨーロッパ冒険旅行!解・大木至(出版社/著者からの内容紹介)


70年代の若者に支持された小説。
そういうことを何かの本で読み、手にとってみました。
この本をきっかけに、世界へ飛び出していった若者が多数いたとか。
五木寛之氏が描く、旅を通じ、人生を知ろうとする若者の青春小説です。

主人公のジュンはテクニックはあるが、”何か”が足りないジャズトランペットプレイヤーの若者。
彼は、その”何か”を見つけるために日本を飛び立ちます。
ロシアからヨーロッパへ向けて。様々な国で様々な人と出会うジュン。
人と人とのぶつかり合いの中で、彼は自分の”何か”に近づいて行きます。


最初読んでいるうちは、なんか古臭い感じのする内容だなっと思いました。
台詞回しや、気取り方などがなんとも鼻につく感じ。
こりゃ、馴染めないかもっと読み進めましたが…
第二章目ではどっぷりはまっていました。

青春時代、熱中し道を追い求めるもの。
ジュンの場合はジャズであり、私の場合では絵でした。
描いても、描いても”何か”が足らず、作品が横たわってしまう。
それは技術的なものではないことだと感じるのだけれども、それが解らない。
それは一人の人間としての深みと言いましょうか、何でしょうか。
たぶんそういうものに対して悶々としていたのでしょう。

物語の中で、ジュンは女性や仲間、仕事やセックス、そしてなにより音楽を通じていままでになかったモノを手に入れていきます。
それは、おそらく日本にいたままでは手に入れられなかったモノ。
まったく未知の世界へ飛び出していったからこそ得られた、我が身を使って開拓したモノに違いありません。
タイトルにある「荒野」とは、そういう若者が殻を破るために挑戦する未知の世界のメタファーであると言えます。
それは、新しい土地を開拓すること、新しいジャンルにチャレンジすること、そして自分の進むべき道のさらに深層へと足を踏み入れることかもしれません。

いわゆる、青春時代のモヤモヤを経験した人ならば、共感するところが多くある小説です。
また世界をめぐる場面では、その土地土地の描写が、知らない国への憧れを書き立たせてくれます。
人が通過する、その一つの過程を鮮やかに、眩しく描いた作品でした。


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