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悲しい大人達 傷つく子供達 『ゴールドラッシュ』

ゴールドラッシュゴールドラッシュ
(1998/11)
柳 美里

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繰り返してはいけないこと

風俗店が並び立つ横浜黄金町。14歳の少年は、中学を登校拒否してドラッグに浸っている。父親は、自宅の地下に金塊を隠し持つパチンコ店経営者。別居中の母、知的障害を持つ兄、援助交際に溺れる姉など、家庭崩壊の中、何でも金で解決しようとする父に対し、少年が起した行動とは…。生きることはゲームだと思っていた少年が、信じるという心を取り戻すまでを描く感動的長編。 (「BOOK」データベースより)


柳美里さんの1998年の作品。
当時起こった、「酒鬼薔薇事件」を下敷きにしているような内容です。
読むほどに引き込まれるのですが、その分だけ切なさが突き上げてくるような作品でした。

主人公は金銭的に恵まれた環境にいながら、親からの愛を与えられずに育った14歳の少年です。
いわゆる非行に走り、少しづつ少しづつ傷つきながら屈折していく少年。
大人になりたい感情と、抗えない子供としての現状の中で彼は徐々に誤った方向に進んでいきます。

彼の遊び場は、欲と性が交じり合った街。
そこにいる大人だけには心を開こうとするのですが、そのコミュニケーションのとりかたも愛を与えられなかったゆえに屈折したものとなっています。

この本では、大人の存在がひどく悲しく描かれているように思います。
大人に余裕がないのでは、子供にも余裕があるはずがありません。

様々なセリフや心情が描かれていますが、最も気になったものを三つ書いておきたいと思います。
上二つは少年を思う金本という大人の心情。一番下は少年のセリフです。

子供がまっすぐな線を引こうとしているのを眺めていて、とんでもない曲線になっているので注意したくてしかたがないが、本人はどうやら直線だと信じて疑っていないようなので声をかけられない、そんな心境だった。まぁ、いい、子どもというものはまっすぐには歩けないもんだ

ひとを殺しちゃいけないよ、それがわかんなきゃ死んだほうがましだ、なぜかって?なぜか、子どもってのはおとなにとって過去であると同時に未来なんだ、先のことはわからねぇけど、知りたいんだ、占いたいんだ、てめぇがいなくなった先の未来をガキのなかに見て安心してぇんだ。

どっちでもいいなんていうのはいやだ。ぼくは超越したいんだ

私にはこれらの心情、セリフにこの本の重要な部分が込められているような気がします。



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