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男の天国,女の地獄 『花宵道中』

花宵道中花宵道中
(2007/02/21)
宮木 あや子

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手練手管で生き抜く世界

吉原の遊女・朝霧は、特別に美しくはないけれど、持ち前の愛嬌と身体の“ある特徴”のおかげでそこそこの人気者。決して幸せではないがさしたる不幸もなく、あと数年で年季を終えて吉原を出て行くはずだった。その男に出会うまでは…生まれて初めて男を愛した朝霧の悲恋を描く受賞作ほか、遊女たちの叶わぬ恋を綴った官能純愛絵巻。第5回R‐18文学賞大賞&読者賞ダブル受賞の大型新人が放つ、驚愕のデビュー作。 (「BOOK」データベースより)


官能的な文体で、江戸吉原の世界を描いています。

落語の世界には、遊郭の話がたくさんあります。
いろいろな場所で、女性が春をうる場所があったようですが、一番の花はと言うと吉原。
噺の世界の住人はことあるごとに、吉原にせっせと足しげく通います。

噺の中の遊女は、ずるがしこかったり、たくましかったりと、悲壮感は感じられません。
しかし実際は、見かけの華やかさとは反対に、哀しみ苦しみの渦巻く苦界だったのでしょう。


規模の小さい小見世「山田屋」で働く遊女たち。
あるものは借金のカタに売られ、あるものは人買いにさらわれて連れてこられ…
どの女性も過去の苦しみを胸に秘めて働いています。

彼女たちは、長く吉原の地にいることに慣れ、苦しみや悲しみを感じなくなる術を身に付けたはずでした。
心をなくせば何も感じない。あきらめれば楽になる…。
それは恋をすることで一気に変わり始めます。
抑えていた心の潤いが溢れ出し、すべての感情は男に注がれる。
苦しい苦しい恋路の果てを夢見れど、そびえ立つのは遊女の身の上。
悲恋に翻弄される彼女達の末は…。


作者の宮木あや子さんは第5回「女による女のためのR-18文学賞」の大賞と読者賞を同時受賞されています。
この賞は、女性目線による、女性を満足させるエロティックな小説を目指して設立されたものです。

花宵道中』もかなりエロティックな文体ですが、私にはそれほどエロさを感じませんでした。
女性目線で書かれているので、むしろ新鮮さと戸惑いににた感覚のほうが大きかったです。
(生々しい描写表現が、独特。ちょっと馴染めませんでしたが。)

ここで描かれた吉原の世界は物悲しい世界でした。
従来の小説にある豪華絢爛さとは違う、また一つのリアルな世界。
女性目線による遊女の心情は、あやうげな様相をたたえています。
強く、そしてもろく。
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