FC2ブログ

三島の純愛物 『潮騒』

三島 由紀夫
06 /04 2011
潮騒 (新潮文庫)潮騒 (新潮文庫)
(2005/10)
三島 由紀夫

商品詳細を見る


素朴に良い


三島由紀夫の作品を読んだのはこれが初めてです。
いままで、三島文学と言えばなんだかどろどろと、情念めいたものやもつれ合った恋愛、情念ゆらめくものばかりかと思ってました。(ようは熟年の世界)
が、この『潮騒』はまったくそんなことがありません。
(あとがきにも三島作品としては異例だと書かれていました。)


三重県の離島に住む主人公新治と、島に戻ってきた少女初江。
二人の、純粋で無垢な恋愛が描かれています。

新治は素朴で誠実な性格。
まだ少年の色濃くのこる、初々しい青年です。
初江は、可愛らしく健康的。
こちらも誠実で実直な少女。


時代背景は戦後しばらくたったころ。
離島暮らしの二人りは、お互いに異性の知識をあまりもっていません。
少しの怖さと、憧れ。胸にたぎる情熱。強固な貞操観念…

現代からすれば、少しじれったいぐらいの清いまま続く二人の関係。
(状況として、そうならざる得ないのですが)
それがいっそう二人の心情を強く燃やすわけです。

表面上は静かな展開ですが、お互いの心中には激しい情動があったはずです。
若さゆえに慎まなければならない部分と、若さゆえにどこまでも盛り上がる心情。
障害があれども、信念と誠実さをもってお互いを求め合う二人。



最初手にとったときに想像していた内容とは全然違いましたが、面白い作品でした。
これもある意味胸がキュンっとなる小説です。

スポンサーサイト

図書館男子

図書館好きの管理人が、様々なジャンルの本を紹介しています。特にお気に入りなのは、江戸、落語、アート、デザイン系の本。相互リンク随時募集中!

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。