スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

北欧の重苦しさ 『誠実な詐欺師』

誠実な詐欺師 (ちくま文庫)誠実な詐欺師 (ちくま文庫)
(2006/07)
トーベ・ヤンソン、冨原眞弓 他

商品詳細を見る


混色は美しいとは限らない


雪に埋もれた海辺に佇む「兎屋敷」と、そこに住む、ヤンソン自身を思わせる老女性画家。彼女に対し、従順な犬をつれた風変わりなひとりの娘がめぐらす長いたくらみ。しかし、その「誠実な詐欺」は、思惑とは違う結果を生み…。ポスト・ムーミンの作品の中でもNo.1の傑作として名高い長編が、徹底的な改訳により、あざやかに新登場。(「BOOK」データベースより)


ムーミンシリーズで有名なトーベ・ヤンソンさんの晩年の作品です。

『誠実な詐欺師』というタイトル。なんとも不思議。
わりとありふれた言葉と言葉をたしただけなのに、そこから様々なものが想起させられます。

ムーミンでは子供が様々なイマジネーションを膨らませ、無邪気な精神がどこまで広がる世界でした。
主人公から、登場人物まで癖の強い個性を持ちながらも、ムーミン谷でのキャラクター達の関係は円満に描かれているように感じます。

この、『誠実な詐欺師』でも癖の強い個性を持った人間たちが主人公です。
裕福な家庭の生まれで、お金に無頓着。だれをも信頼し、疑うこの知らない女性画家「アンナ」。
計算が得意で数字に敏感。ひどく無愛想で、人の欺瞞に対して鼻がきく若い女性「カトリ」。

二人とも心根は優しいということは共通しています。
しかし、育ってきた環境、考え方、価値観などがまるで違う二人。
あることがきっかけで、二人とカトリの弟、犬と共に一緒に暮らすことになります。


カトリがアンナに歩み寄ろうとした時から何かが狂い始めます。

カトリとアンナは色で言えば補色関係にあるようなもの。
(補色とは対比する関係の色で、並べればお互いを引き立てあう色のこと。)
仕事の面ではお互いをうまく引き立てることはできました。
(お金に無頓着なアンナに対して計算の得意なカトリ。お金を儲ける手段をもたないカトリに対してそれがあるアンナ)

しかし補色関係にある色は混じり合うと、くすんで濁った灰色のような色になってしまいます。
カトリとアンナに対しても同じで、歩み寄りによってお互いの良さが徐々に崩れていきました。
お互いに鮮やかだった個性の部分がグレーな良かった部分を濁らせる結果になってしまいます。


「誠実」と「詐欺師」という言葉もあるいみ対極に位置する言葉かもしれません。
曖昧さをもたない対極に位置するモノ達の歩み寄りは、不純を持った曖昧さを生じさせるだけなのかもしれません。

だからといって歩み寄らなければいいというわけではありません。
スポンサーサイト
プロフィール

図書館男子

Author:図書館男子
図書館好きの管理人が、様々なジャンルの本を紹介しています。特にお気に入りなのは、江戸、落語、アート、デザイン系の本。相互リンク随時募集中!

検索フォーム
カテゴリ
未分類 (0)
実用書 (71)
デザイン (38)
アート (32)
漫画 (28)
新書 (22)
文庫 (8)
江戸 (13)
落語 (20)
サブカル (10)
幻想的 (9)
ドキュメント (7)
学術 (9)
雑誌 (6)
ライフ (28)
小説 あ行 (16)
アガサ クリスティー (1)
安部 公房 (1)
芥川 龍之介 (1)
有川 浩 (2)
池上 永一 (1)
五木 寛之 (1)
伊坂 幸太郎 (3)
ウィリアム・サマセット モーム (1)
ウィンストン グルーム (1)
江戸川 乱歩 (2)
遠藤 周作 (1)
押井 守 (1)
小説 か行 (4)
カミュ (1)
川村 元気 (1)
貴志 祐介 (1)
ケストナー (1)
小説 さ行 (23)
桜庭 一樹 (1)
佐藤 多佳子 (1)
サン=テグジュペリ (1)
J. R. R. トールキン (1)
J.D. サリンジャー (1)
J‐P・サルトル (1)
志賀 直哉 (1)
C.W. ニコル (1)
司馬 遼太郎 (9)
澁澤 龍彦 (2)
ジャンニ ロダーリ (1)
ジュール・ヴェルヌ (2)
ジョン スタインベック (1)
小説 た行 (14)
ダニエル キイス (1)
太宰 治 (2)
谷崎 潤一郎 (3)
チャールズ ディケンズ (1)
筒井 康隆 (1)
恒川 光太郎 (1)
トーベ・ヤンソン (1)
ドストエフスキー (2)
トマス・H・クック (1)
トルーマン カポーティ (1)
小説 な行 (10)
中 勘助 (1)
梨木 香歩 (4)
夏目 漱石 (2)
南條 範夫 (1)
西尾 維新 (1)
日本児童文芸家協会 (1)
小説 は行 (9)
坂東 真砂子 (1)
ピエール・シニアック (1)
東野 圭吾 (2)
ヘッセ (1)
ヘミングウェイ (1)
星 新一 (2)
堀口 順子 (1)
小説 ま行 (38)
万城目 学 (6)
松岡 圭祐 (1)
三浦 しをん (6)
三島 由紀夫 (1)
三津田 信三 (1)
ミヒャエル・エンデ (1)
宮木 あや子 (1)
村上 春樹 (8)
村上 龍 (1)
森見 登美彦 (12)
小説 や行 (6)
八木沢 里志 (1)
柳 美里 (1)
夢野 久作 (2)
山田 風太郎 (1)
よしもと ばなな (1)
小説 ら行 (2)
リチャード・バック (1)
ロアルド・ダール (1)
小説 わ行 (2)
和田 竜 (2)
取得物@動画など (13)
図書館 (19)
雑記 (22)
購入日 (7)
J. K. ローリング (1)
柳広司 (1)
冲方 丁 (1)
坂木 司 (1)
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
Twitter
tosyokandanshiをフォローしましょう
カウンター
最新トラックバック
フリーエリア
図書館男子さんの読書メーター
リンク
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム
検索フォーム
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。