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不条理なのは誰なのか 『異邦人』

カミュ
05 /18 2011
異邦人 (新潮文庫)異邦人 (新潮文庫)
(1954/09)
カミュ

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他人の確固たる認識 とのずれ


この物語の主人公ムルソーはひょんなことから殺人を犯してしまいました。
彼は裁判を受けるのですが、論点が殺人以外のところに移っていきます。

検事は、殺人の数日前に起こったある出来事を引き合いに出し、そのことを非人間的所行であると言いだします。そしてその出来事と殺人を結びつけムルソーを極悪人であると言い放ちました。
はたして、その出来事は非人間的なことだったのか?ムルソーは極悪人なのか?
そもそも、論点はそこに集約されるべきなのか
不条理の認識を極度に追及したカミュの代表作です。


とにかく、何だか気持ちの悪い読後でした。
主人公の行動に対しての検事の推論。
妄想と自己の定規に照らし合わせ、それが絶対の理であるかのように。
”出来事”について過大解釈が行われ、裁判は進んでいきます。

我々は”出来事”の描写を文章で読むことができます。
その描写に各々のイメージが当てはめられるでしょう。
そして、様々な解釈が存在しますが、事実は一つしかありません。
ここでの事実はムルソーの体験以外には無いのです。

が、人は推論を行い、時としてそこに無い情報を付加して結論を見つけ出そうとすることがあります。
検事の行動はその行き過ぎた例であり、そこに不条理が生じました。

カミュはサルトルと同じ実存主義者だと見なされた時期があったそうです。
(二人は、フランスを代表する同時代の文学者でよく引き合いにだされたようです。)
結局は実存主義者ではなかったようなのですが、異邦人にはなんとなく「嘔吐」で感じた、足場が溶けてしまいそうな、あやふやな感覚を感じました。

なんだかややこしく、はっきりとした確証(この本の要)を得られない読後でしたが、まだなんとなくのもやもやだけはまだあります。
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