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『ホビットの冒険 オリジナル版』~2013年一発目は岩波ファンタジーで~

ホビットの冒険 オリジナル版ホビットの冒険 オリジナル版
(2002/12/07)
J. R. R. トールキン

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あけましておめでとうございます。
本年もご愛顧よろしくお願いいたします。

さて、2013年一発目は『ホビットの冒険』です。
数年前、『指輪物語』の映画版が大ヒットし、現在ではこの『ホビットの冒険』も映画化されています。

たしか、私が中学生ぐらいに父が土産に買ってきてくれたのですが、キャラクターの数が多く、また覚えきれずに途中で挫折し、今まで読まずに放置してきました。(もったいない)
新年最初の本は、何かほっこりと読める本をと思い、今回読んでみたしだい。

私の手元にあるのは岩波世界児童文学集に収録されているバージョン。
子供向けとあって、ひらがながおおく、読むのにけっこうつっかえつっかえでした。
訳されたのも、けっこう昔なのかな?表現の古めかしさもありますが、そこはそれでなかなか良いです。

ホビットが住む世界というのは、もちろんこの世界にはないものです。
しかし、出だしの「地面の穴のなかに、ひとりのホビットが住んでいました。」という一文で、すんなりとその世界に入り込めるから素敵。
無理なく世界が広がっていきます。自然と魔法と、そして様々な生物が共存し、時に争う、ファンタジーの世界。
それらが、しだいに現実の世界とリンクしているようなリアリティさえ感じてきます。
現在では、小説、漫画、ゲームと様々なファンタジーの世界がありますが、まさにそれらの原型のような世界観がありました。

主人公のホビットが、ふとしたことから魔法使いとドワーフ達とともに宝物を求める旅に出るところから話ははじまります。
その道中は、ピンチあり、癒しあり、友情と葛藤などなど様々なエンターテイメントの要素がつまっていてあきることはありません。
種族ごとに様々な性格があり、それでもそれらを許容し合って危機を乗り越えていくところなどは、いつの世も世界情勢が本来目標としなければいけないような、理想像があります。
本来、ファンタジーなどは寓意を込めてそれらを伝えるためにうってつけのもので、『ホビットの冒険』ではなおさらそれを強く感じました。

先にも書いたように、私の読んだのは岩波世界児童文学集版です。
今日、図書館で別のバージョンを読んだのですが、訳者が変わるだけでぜんぜん違う印象をうけます。
どちらかといえば、レトロな世界観を楽しみたい方、または子供に読ませてあげたい方には、岩波版がおすすめです。
今後読もうとお考えの方は、購入前に一度各社読み比べてみることをおすすめします。



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『家守綺譚 (新潮文庫)』~不思議な交際録~
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『燃えよ剣』~土方歳三の生き方、死にかた~

燃えよ剣燃えよ剣
(1998/09)
司馬 遼太郎

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点と点が結ばれていく


(「BOOK」データベースより)
武州多摩の田舎剣士、近藤勇、土方歳三とその仲間が、清河八郎の率いる幕府徴募の浪士組にまじって京へ上ったのが文久三(一八六三)年の二月。曲折を経て、同じ尊皇攘夷であった志士たちが倒幕へ傾いてゆく時勢のなかで、ひとり近藤、土方の新選組は佐幕の道をつき進み、京都守護の会津藩の先兵となって、池田屋襲撃などを決行し、長州藩、土佐藩ほかの憎悪の的になっていった…。―その新選組を創り上げた土方歳三は、最後まではげしく時流に抵抗し、滅びゆく幕府に殉じた。稀代の漢の生涯を巧みな物語展開で描いた傑作長篇小説。



●鬼の副長

新撰組副長、土方歳三の生涯を描いた傑作。
幕末において、彼が何をなそうとしたのかがわかる。

数年ぐらい前から、歴女というのが話題になっています。
いわゆる歴史好きの女性たち。
戦国武将にあこがれたり、様々な土地を訪ねて歴史への興味を深めるのはいいことです。

そんな彼女たちに人気があるのが、伊達政宗と土方歳三(っとテレビか何かで見ました…)
伊達政宗は、近年のゲームやアニメなどでカッコイイキャラとして描かれ、その影響もあり女性ファンも多いよう。
一方、土方歳三のほうは、実際の写真が残っており、現代人からみてもなかなかハンサム。歴女に好感を得られるのもわかる気がします。

●なんのために切るのか

私は、今までドラマや映画、アニメ、漫画などから、頭の中になんとなくの土方歳三像というものがありました。
クールで、掟に厳しく、剣の達人で…などなど。
どこで生まれ、京都でどう活躍し、北海道のどこで死んだかなどの知識もありました。

しかし私の中にある知識は点と点のみで、結ばれておらず、それによって土方歳三像というものを朧気にしか捉えられていませんでした。

こうして、司馬遼太郎の史実に忠実に描かれた小説を読むとそれらがつながったような気がします。
そこに至る理由と結果。特に、理由を知ることで、土方歳三の人となりが大分わかりました。

今まで見聞きしてきた土方歳三とは、一味違う、生の姿に最も近いであろう土方歳三像。
クールというよりも戦国武将のような、狡猾さや野心、智謀にたけた、ある種の荒々しさ。
冷徹さと、火のような気魄のアンビバレンスさを持ち合わせる、新撰組副長。

この、幕末という時代の流れに、刀の力で逆らい続けた男の姿は、結末はどうであれ、今も人の心を熱くさせます。


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『坂の上の雲〈8〉 (文春文庫)』~日露戦争終決へ~

坂の上の雲〈8〉 (文春文庫)坂の上の雲〈8〉 (文春文庫)
(1999/02)
司馬 遼太郎

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本日天気晴朗ナレドモ浪高シ

本日天気晴朗ナレドモ浪高シ―明治三十八年五月二十七日早朝、日本海の濛気の中にロシア帝国の威信をかけたバルチック大艦隊がついにその姿を現わした。国家の命運を背負って戦艦三笠を先頭に迎撃に向かう連合艦隊。大海戦の火蓋が今切られようとしている。感動の完結篇。巻末に「あとがき集」他を収む。(「BOOK」データベースより)


●いよいよ最終巻

坂の上の雲 第8巻
いよいよ最終巻。日露戦争最大の山場、バルチック艦隊との決戦です。

日本の命運をかけた戦い。
ここでロシア側を一艦でも逃せば、日本海の航海に支障が出て、確実に日本側が敗北の道を歩まなかればならなくなる、大事な一戦。

歴史の授業などで、勝敗の結果は知っていても、やはり細部の様子を読んでいると、ドキドキがとまりません。
飛び交う銃砲、火炎、水しぶき。
それらの描写が続き、ロシア艦が一隻、また一隻と沈んでいく度に、この戦争が終決へと近づいていきます。

まだ明治維新が起きてから、そうは経っていない時期。
ほんの数十年前までは、ちょんまげを結い、腰に刀をさしていた日本人が、近代兵器によって大国ロシアから勝利を収めようとしている。

歴史に”もし”というものはありませんが、仮にこの戦争で負けていたならば、今の日本も、東アジアもまったく別の形になっていたに違いありません。
”今”を形作った重要な歴史の一頁。
学校の授業では知ることのできなかったその情景を知ることができ、改めてこの本を読んで良かったと思いました。

●日露戦争終結後の悲劇も


この巻でやりきれない気持ちになったことが一つ。
日本海海戦での戦死者よりも、その後に起こった戦艦三笠での謎の事故により亡くなった方のほうが多いということです。

日露戦争集結直後の1905年、三笠は佐世保港内で謎の爆発事故を起こして沈没します。
東郷平八郎や秋山真之は上陸中だったため怪我はありませんでしたが、この時に339名の方が亡くなりました。

戦争という死地からようやく開放されようかという矢先の事故。
こういう悲劇があったということも、教科書には載っていなかったように思います。

●学ぶことの多い小説

全八巻。
長かったようで短かった『坂の上の雲』。
どの巻もそれぞれ考えさせられる部分、感銘をうける部分が多々あり、飽きることなく読み進められました。

今の日本を作った先人たち。今の日本人が持っていないものを持っている先人たち。
先人から学ぶことの多さを改めて痛感させられる、そんな小説でした。
もう少し、自分の年齢が経たとき、また読み返してみようと思います。


●1巻へ

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『坂の上の雲〈7〉 (文春文庫)』~活路を見出す~

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(1999/02)
司馬 遼太郎

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陸戦から海戦へ


各地の会戦できわどい勝利を得はしたものの、日本の戦闘能力は目にみえて衰えていった。補充すべき兵は底をついている。そのとぼしい兵力をかき集めて、ロシア軍が腰をすえる奉天を包囲撃滅しようと、日本軍は捨て身の大攻勢に転じた。だが、果然、逆襲されて日本軍は処々で寸断され、時には敗走するという苦況に陥った。(「BOOK」データベースより)


●危うい

坂の上の雲、第7巻
奉天会戦から海戦へ。

陸軍の尽力にあり、奉天会戦ではかろうじて有利と取れる状況にある日本軍。
しかし決着はつかず、日本としては有利なうちに講和へともちこみたい。
それが決まるか否かは、日本海海戦の結果へと託されるのであった…

この奉天会戦は読んでいるだけでどきどきとします。
日本軍は薄氷の上のような状態。
いつ何時瓦解するかわからないような危うい状態。

かろうじて有利な状況に立っているのも、ロシア側の不手際など外的要因によるものが大きい状態。
そして、日本軍には余力が残されていない状況にきています。
もしロシアがあと一歩踏み込んできたら…という状態。

日本の行く末は、日本海海戦に託されることになります。
この海戦の勝敗によって講和にもちこめるかどうかが決まる重要な場面。
主人公の一人、秋山真之がたてた作戦の如何が問われるところにきています。

●いかなる幕引きをするか

今までの巻は、わりと鼓舞させられるような、そんな勢いを感じられる描写が多かったですが、7巻に関してはどちらかというとヒヤヒヤさせられる印象をうけました。
ロシアと日本との国力の差が歴然とではじめている。

引き際、終わらせ方のタイミングによって、かろうじて日本が勝利の形をとれるという重要な場面。
戦争というものが、いかに頭脳戦であるかを感じさせられる章でした。

次巻はいよいよ最終章。日露戦争の勝敗が決します。


●8巻へ


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『暗黒のメルヘン (河出文庫)』~澁澤龍彦が選ぶ悪夢~

暗黒のメルヘン (河出文庫)暗黒のメルヘン (河出文庫)
(1998/07)
澁澤 龍彦

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不安と夢現


●すごく贅沢な、暗黒メルヘン

澁澤龍彦氏が選ぶ、日本を代表する作家たちが描く悪夢の世界。

様々な作家によるオムニバスタイプの諸説には、えてしてハズレのものが多いです。
なんか、数合わせ、ページ合わせでこの作品を載せたんじゃないのか?っというような本にも時々巡り会います。

しかしこの『暗黒のメルヘン』に限ってはそうではありません。
オムニバスながら、一つ一つのクオリティーがものすごく高い。
なにせ、泉鏡花、坂口安吾、江戸川乱歩などなど・・・
怪奇さや、闇をもった小説をかかせたら、右に出るものはいないような人たちばかりで選りすぐられているのですから。

その分、難しい作品もかなり多く、読みづらいのもたしか。
難解な表現、複雑な世界観。。。
正直、すらすら気軽に楽しめるタイプではなく、かなり骨太。
じっくり取り組まねば、なかなかつかみづらい話のほうが多いくらいです。

●あえて、お気に入りを選んでみる

収録作の中で、特に気に入ったもの。
●夢野久作『瓶詰の地獄』
●安部公房『詩人の生涯』
●澁澤龍彦『マドンナの真珠』

『瓶詰の地獄』は人類のタブーに迫った話。話の進め方がなんとも、恐怖感をわきたたせます。
それにしても夢野久作という人のタイトルのネーミングセンスは、あいかわらず秀逸!

『詩人の生涯』は不条理。老婆が糸になって、それでジャケットが作られて・・・
怖さよりも、物悲しさを感じる作品。なんとなくチャップリンのモダンタイムスをイメージ。

『マドンナの真珠』は、なんとなくパイレーツ・オブ・カリビアンをイメージしました。
カリビアン1の呪われた船によく似たシチュエーション。
亡者たちの生者への憧れ、渇望、嫉妬などがぎちぎちと描かれています。
同じ澁澤龍彦でも『狐媚記』よりくだけた感じで、面白かったです。

正直、どの作品も一読しただけではつかみきれない話ばかり。
少しづつ、少しづつ、その世界を味わっていくのが良いかと。
子どもがおとぎ話を読んでもらうように、少しづつ。


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