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鮮やかな性の解放 『痴人の愛』

谷崎 潤一郎
09 /28 2011
痴人の愛 (新潮文庫)痴人の愛 (新潮文庫)
(1947/11/12)
谷崎 潤一郎

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大正時代の不二子ちゃん

生真面目なサラリーマンの河合譲治は、カフェで見初めた美少女ナオミを自分好みの女性に育て上げ妻にする。成熟するにつれて妖艶さを増すナオミの回りにはいつしか男友達が群がり、やがて譲治も魅惑的なナオミの肉体に翻弄され、身を滅ぼしていく。大正末期の性的に解放された風潮を背景に描く傑作。 (「BOOK」データベースより)


名作には、時代を超えた新鮮さがあるような気がします。
この『痴人の愛』にも今までに見たことのないような新鮮さを感じました。

登場人物のナオミは性に対する倫理感が欠如したような天性の妖婦。
夫があるにもかかわらず、様々な男の間を渡り歩いても悪気を感じない無邪気さも併せ持ちます。

このナオミの強烈なこと。
わがままで、自己中心的。義理人情に縛られない自由奔放なふるまい。
それだけならば鼻持ちならない嫌な人物になりがちですが、それらに天然の”無邪気さ”が加わることでものすごく魅力的な人物になっています。

読みながらナオミとルパン三世の不二子ちゃんがダブって見えました。
どちらも男ゴコロをガッチリ掴んで離さない手管の持ち主。
ナオミの人物描写は西洋的なスタイルと西洋人的な風貌とのことですから、こちらも不二子ちゃんに近いものがあると思います。

『痴人の愛』は大正時代の話。
まだまだ封建的な空気が色濃い時代に、ナオミは様々なものの象徴だったのではないでしょうか。
自由や退廃、グローバリズムと西洋コンプレックスなどがナオミから感じられます。
それは良きにつけ悪きにつけ、日本の文化が成長していくときに得る正負の両面を含んでいるのだと思います。

妖婦ナオミに魅せられた主人公の譲治
譲治はナオミに逆らいがたい肉欲と情愛を持っています。
離れようとしても、狂おしい気持ちがそれを阻みます。
一方ではそれは身の破滅と捉えられるでしょう。
はたかれ見れば哀れなような境遇にまで陥りますが、おそらく譲治本人は背徳的ながら幸福に浸っているのだと思います。
主人公の譲治にも両面性が感じられます。

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