FC2ブログ

まずは、前向きに 『図説 江戸っ子のたしなみ』

学術
06 /29 2012
江戸ッ子のたしなみ
図説 江戸っ子のたしなみ (ふくろうの本)


ポジティブな面を捉えよう。


●庶民と浮世絵

落語好きな関係もあって、江戸の歴史に興味があります。
歴史の中でも、大きな事件とかではなく、庶民の暮らし。
どんなことを考えて、何しながら暮らしていたのかなぁと、時々考えたりします。

本書は割と薄めなのですが、庶民の暮らしを題材にした浮世絵を中心に収録されています。
カラーのページも多く、ビジュアルとして江戸風景を捉える資料としてなかなか楽しめました。

江戸期のこういう絵というものは、非常にデフォルメが効いています。
漫画的といいましょうか。体のひねり具合や表情、ポージングなどが実に多彩。
西洋の絵画などとは全く違う、かと言って他のアジア諸国の絵ともまたちがう独自の様式。

やや俯瞰的であり、ヌケの空間を上手く使うその構図は、現代から見ても見習う部分がたくさんあります。
このような捉え方は、遊び心がないととてもできないような、描き方です。

特に庶民を題材にした場合の描き方。
役者衆や花魁などの描き方と違い、基本は集団で描かれます。
それぞれの人物の表情仕草からストーリー性が生まれ、誰もがどこにでもいるような親近感が湧いてきます。

浮世絵のデフォルメの特徴上、人物の顔にはあまり差異を感じられないかもしれません。
しかしポーズや立ち位置などから、そののっぺりとした顔に感情を含んだ表情を感じられるのが不思議です。
日本人が持つ機微を感じ取る力の豊かさを、こういう時にあらためて関心させられます。

●影が強いほど、明るく感じられる

本書は江戸庶民のビジュアル的な資料としては楽しめましたが、文章内容に関しては、ちょっと美化しすぎかなと思う部分もありました。
江戸ッ子は底抜けに明るく、悩むことのない存在として説明されています。

しかし、当時の情勢を考えても、背景には苦難の生活があったはずです。
流行病、火事、飢饉、病、事故。
明るさの背景には、こういうどうしようもないことを飲み込んだうえでの、見栄のようなものも感じられます。
そのへんの、意地が『江戸ッ子のたしなみ』なのかもしれません。


関連記事
貨幣価値からお江戸が見える 『江戸の卵は1個400円! モノの値段で知る江戸の暮らし』
削ぎ落としの美学 『江戸のセンス -職人の遊びと洒落心』
スポンサーサイト

図書館男子

図書館好きの管理人が、様々なジャンルの本を紹介しています。特にお気に入りなのは、江戸、落語、アート、デザイン系の本。相互リンク随時募集中!

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。