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『農村(ムラ)の幸せ、都会(マチ)の幸せ―家族・食・暮らし (生活人新書)』~論理先行型の感あり~

新書
08 /31 2012
農村(ムラ)の幸せ、都会(マチ)の幸せ―家族・食・暮らし (生活人新書)農村(ムラ)の幸せ、都会(マチ)の幸せ―家族・食・暮らし (生活人新書)
(2007/02)
徳野 貞雄

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なかなか手ごわい、日本の問題

かつて百姓のせがれだった都会人は、ムラに残した老親を気遣いながらも帰れず、全国各地から「新鮮で安全な農産物」を求め、「グリーンツーリズム」で週末を過ごし、「定年帰農」に憧れる。果たして、それだけでいいのか?都会に頼る農村、農村に憧れる都会という歪んだ構造を農村社会学の視点で捉え直し、日本人の「家族」「食」「故郷」の幸せの行方を占う。(「BOOK」データベースより)


●実感に乏しい文章

大きく分けて4章構成になっています。
1章:「農」の国日本
2章:化け物になった消費者
3章:変貌する農村、都会での生き残り戦略
4章:「農」の魅力溢れる人々の世界

この1~3章まで、ほとんど有益だと感じることがありませんでした。
著者の見解がかなり偏っており、どうも実像が見えてこない。

日本人の根本的な考え方に対しての批判などもありますが、それがかなり他人事のようで・・・
農を理解する人を「日本人」、農を理解しない日本人を「ジャパニーズ」と定義したり。
農を軽視する人などへの「彼らは」という表現に、自分だけは違うといったような優越感というか上から目線というか。
読んでいて、少しずつ嫌な感じがこみあがってくる文章でした。
(根本的に、この著者の文章が読み辛い)

私も田舎暮らしをしている人間で、まわりに農家の人も沢山います。
田舎の就農や後継者不足、その他様々な問題についても言及がありますが、田舎の人間にとってはそれらは常日頃から肌身に感じていること。言われなくても問題として常に持っている。
それらの解決策を期待して本を買ったのに、ほとんどそれらについては手つかずのまま放り投げ。

おそらく、都会暮らしの人のみを対象に書かれた本なのかも。
もちろん、多くの人に知ってもらいたい田舎の実情などにもふれられていますし。
本のテーマはとても良いのに、どこか踏み込みの足りない内容にかなり不満足です。

●唯一良かった4章

ただ、4章だけは良かったです。
日本各地の様々な農に関わる人々の、新しい取り組み。
どのような発想のもと、どのような取り組みで成果を出しているのかなど。

例えば、都会から田んぼを借りて農作業をしにきた人の話。
その人は、実際の体験、労働を経て、現代日本の農に払われる対価の安さに気づいたそうです。
一度それに気づいた人は、農作物に払う対価の価値観もがらりと変わることでしょう。
こういう気付きがあるという事例は、今後の指針になりうる可能性を秘めています。


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