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人気推理作家のブラックユーモア 『怪笑小説』

怪笑小説 (集英社文庫)怪笑小説 (集英社文庫)
(1998/08/20)
東野 圭吾

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じっとりこみあげてくる笑い


年金暮らしの老女が芸能人の“おっかけ”にハマり、乏しい財産を使い果たしていく「おつかけバアさん」、“タヌキには超能力がある、UFOの正体は文福茶釜である”という説に命を賭ける男の「超たぬき理論」、周りの人間たちが人間以外の動物に見えてしまう中学生の悲劇「動物家族」…etc.ちょっとブラックで、怖くて、なんともおかしい人間たち!多彩な味つけの傑作短篇集。 (「BOOK」データベースより)


人気作家、東野圭吾さんのブラックユーモアあふれる短編集です。
東野氏は『探偵ガリレオ』や『白夜行』などの推理小説を数多く送り出しています。

この小説に関しては、推理などまったく関係なし。
黒くて笑える話が盛り込まれています。

私は、あまり東野圭吾の小説を読んだことがありませんでした。
唯一『探偵ガリレオ』を読んだことがあるぐらいで、他の作品には手が伸びていません。

この本を手に取ったきっかけは、フジテレビの『世にも奇妙な物語』
その中で、この小説の続編の『毒笑小説 』に出てくる話を原作にした話がありました。
「マニュアル警察」というタイトルで、自首をしようとする男とマニュアルを厳守する警察署との不条理でブラックユーモアの効いた内容でした。


さて、その『毒笑小説 』の前身となるこの『怪笑小説』。
タイトルどおりの怪しい笑いに満ちています。

私が特に好きなのは、「しかばね台分譲住宅」という話。
ある日、平和なニュータウンの路上で死体が落ちていた。これは殺人事件か・・・警察に届けなければ・・・しかしこのことがニュースになるとこの辺の評判が落ちるぞ・・・そうだ、こっそり隣町へ置いてきちゃえ!!・・・
一つの死体をきっかけに明後日の方向へ迷走をはじめるニュータウンの住民たちは・・・。

話の入りは、死体が放置されているといった緊迫したシーンです。
住民があつまり、事件性を論じ合う中、この死体によって生じる不利益について話題が移行していきます。
死体という非日常性の高い物を目の前に、あくまで現実的で利己的な人間達の様子のコントラスト。
短い話の中で綺麗にまとまっており、なおかつ皮肉も効いていて上質のコメディーに仕上がっています。

他に収録されている話も、さらりとした笑いでなく、皮肉、風刺の効いた濃い笑いです。
ブラックユーモアであっても人間性に根ざした笑いのほうが、満足を与えてくれるもんです。

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