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たぎる美術論 『美の呪力』

美の呪力 (新潮文庫)美の呪力 (新潮文庫)
(2004/02)
岡本 太郎

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生命の赤

私は幼い時から、「赤」が好きだった。血を思わせる激しい赤が―。取り繕われた芸術品や輸入文化に背を向け、神聖な巨石、鮮血と太陽、マンダラ宇宙、聖なる火、夜と闇、戦慄の仮面、無限の組紐文など、もの言わぬ文化や神秘的な事象に注目する。原始からの鼓動に耳を傾け、中世の色彩に心動かされ、現代世界について深く思考する、恐るべきパワーに溢れた美の聖典が、いま甦った。 (「BOOK著者紹介情報」より)

芸術は爆発だ」で有名な岡本太郎氏の本です。

この本を執筆した時期はちょうど万博の時期。
万博の太陽の塔の製作と平行してこの本を執筆されていたようです。

はるか昔。まだそれぞれの地域にそれぞれの神様がいて信仰を行っていた時代。
人々は自然を敬い、そして目に見えぬものに畏敬を感じていました。
それら目に見えないが感じる何かを、像や仮面、または絵にとどめて崇拝の対象としていました。

それらの事柄は世界各地にあり、それらからは人間が人として生き抜いてきた軌跡が刻まれています。
装飾的な事柄のみにとらわれず、その中にあるダイナミズムを著者は切り抜き、文章で描き出しています。


岡本太郎氏は若かりしころパリで哲学を勉強していた時期があります。
この本で、土着美術などの紹介も装飾的なことのみならず、かなり哲学的解釈で説明されています。
ここで紹介されているモノ達は、造形を超えた人間の精神性がにじみ出るからこそ、論じる時に哲学の要素が絡み合ってくるのでしょう。
タイトルの『美の呪力』という言葉には、「確かに!」と納得させられます。

岡本太郎氏がこの本の執筆を行ったのは、ちょうど万博の時代。
今も万博跡地にそびえ立つ、太陽の塔を製作している時期と平行しています。
恐らく、岡本太郎氏が最も忙しく、なおかつ充実していた時期での執筆。
文章のテンションがやたらと高いです。
あふれ出るものを堪え切れない、そんなイメージが随所から感じました。

赤い表紙に、黒の文字。
シンプルながら力強さを感じます。
絵から力強さを感じるということも、一つの呪力かもしれません。
岡本太郎が作り上げた呪力はいまだ色あせず私たちに染みこんできます。


関連記事→良い意味で叱ってくれる本 『自分の中に毒を持て』
       自由な心の百面相 『岡本太郎遊ぶ心』

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