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『オイスター・ボーイの憂鬱な死』 ティム・バートンのすくわれない絵本 

オイスターボーイとは何か…

オイスター・ボーイの憂鬱な死オイスター・ボーイの憂鬱な死
(1998/12)
ティム・バートン

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ティム・バートンが描く、異形の者達の絵本

●奇才が絵本を描くとこうなる


この本は「アリス・イン・ワンダーランド 」や「チャーリーとチョコレート工場」などの監督、映画界の奇才ティム・バートンが描いた絵本。
(ゴシック×不気味さ×物悲しさが漂っています。)

絵本とは言うものの、内容はかなりダークなしろもの。
オイスター・ボーイをはじめ人間ではない、異形たちの救われない短編が並べられている。
悲惨な見てくれ、悲劇的な体質、迫害される未来・・・
それらの物語をバートンがダークな絵柄と灰色のトーンで彩る。


●異形の者達への愛

ティム・バートンは映画のテーマに異形の者達をあげている。
初期のシザーハンズ を見てみると、主人公は手がはさみであるがゆえに他者を遠ざけねばならない。
新作のアリスでは、アリスは周りとの違いに悩んでいる。
(『オイスター・ボーイの憂鬱な死』ではその”周りとの違い”が強烈に表に出てきている。)
他者の一般的という尺度から離れているものにティム・バートンは魅力を感じ、またそれらの物語を作るのだろう。オイスター・ボーイの憂鬱な死に登場する多数のキャラクターは ティム・バートン映画に共通項を見出せるアウトサイダー達。

ダークでありユーモラスであり、人の心の薄暗い部分に微笑みかけて魅了するキャラクター達の祭典。
表題の『オイスター・ボーイの憂鬱な死』をはじめハッピーエンドが皆無な内容ばかり。。。
ティム・バートンの濃ゆい世界観が凝縮。

●おすすめの話

この中で特にお気に入りの作品。
・スティック・ボーイとマッチ・ガールの恋
 恋の炎にもえる二人のフリーク。やせっぽきのキャラクターはティム・バートンのおはこ。
 やせた棒状の体を持ったスティック・ボーイが身を焦がす恋をする話。

・ジェームズ
 唯一人間の主人公。クリスマスのお話だけれども…
 二行ほどの短いストーリー。だけれどもとりわけブラックなキレの良さ。

・オイスター・ボーイの憂鬱な死
 牡蠣人間として生まれたオイスター・ボーイの悲劇。
 ティム・バートン版のバットマンリターンズにでてくる、ペンギンに通じる何かを感じる。
 いや、彼にはもっと悲惨な結末が…

一つひとつがとても短いのだけれども、ものすごく濃ゆい内容をもっている。
一瞬で惹きつけられてしまい、そして目が離せない(中には1ページほどで散ってしまうキャラクターもいるけれど)。
これは、漫画でもだめだろうし、小説でも成り立たないだろう。無論、映画でも。
オイスターボーイに関して言えば”絵本”という媒体だからこそ、その真価を発揮できる作品だと思う。
極限まで切り詰められた文字数の中にひろがる怪しい世界。
100文字ほどの中で、怪しいキャラクターたちが生まれては消えていく。
その儚さゆえに、キャラクターたちに心奪われる。
それが、より一層この世界観の毒気を高め、読者を中毒にさせる。

オイスター・ボーイをはじめとする不思議な不気味なキャラクター達。映画とは一味違った、うっすら暗くて怪しい世界。
『オイスター・ボーイの憂鬱な死』に描かれる様々なフリークスはバートンの感じる偏屈な愛が込められている感じも…
ティム・バートンの映画が好きな人には是非とも読んで欲しい一冊。


_______________________________________
追記
↓にティム・バートンの映画一覧をまとめています。

ネットのサンポミチ

初期のピーウィーからアリスまでのジャケットを載せています。



こちらもバートンの作品。映画「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス 」の絵本版です。

今でも熱狂的ファンが多い作品です。ディズニーランドは数年前、ハロウィンの時期にナイトメアのイベントを開催していました。
少しおしゃれ目の雑貨屋、おもちゃ屋などにも、主人公のジャックのフィギュアや商品をよく見かけます(近年では『オイスターボーイ』のキャラクターたちもフィギュア化されたのが嬉しいところ)。

絵本では、よりティム・バートンの世界観というものが強く押し出されている気がします。
絵のタッチ、カラー。映画監督として一流の才能を持つティム・バートンですが、もともとディズニーに勤めていただけあって、絵のほうも優れた実力を持っています。
実写も撮れるし、ストップモーションアニメも凄い、絵本だって描ける。
いったいどれだけ才能があるのか、計り知れないものがあります。ひとつのものに限定されないあたりが、天才というよりも”奇才”と呼ばれる所以なのかもしれません。

『オイスター・ボーイの憂鬱な死』と比べるとどちらが万人向けかは言い難いですね。絵は多少怖いですし、内容はダークだし・・・
子供向けではないですが、大人のファンタジーとしては大変すぐれた作品だと思います。
映画とは一味違う世界観に、ますます引き込まれていくはずです!

ティム・バートンナイトメアー・ビフォア・クリスマスティム・バートンナイトメアー・ビフォア・クリスマス
(1999/10)
ティム・バートン

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