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マクラのように面白く論じる  『落語家論』

落語家論 (ちくま文庫)落語家論 (ちくま文庫)
(2007/12/10)
柳家 小三治

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落語協会会長のオハナシ


ホントにいいのかなあ、本なんかにしちまって。これは今さかのぼる二十年以上前に、頬輝かせて噺家になったばかりの諸君へ向けて書いたものです。師匠の姿に学んだこと、修業のいろは、楽屋の風習のすばらしさ、人との出会い、筋を通すということ、旅、酒、言葉、歳…こんなに正直に書いてしまったことを恥ずかしく思いつつ、これはあの頃の私の心意気でもあります。 (「BOOK」データベースより)


柳家小三治師匠。
落語協会会長にして、江戸の古き落語を今に残す噺家さん。
卓越した、丁寧な芸からは、自然に笑いがこみ上げてきます。
まちがいなく、名人と呼べる師匠が20年ほど前に書いた、落語論とは。


現在、ご存命の噺家さんの中でも小三治師匠の芸は最上のものと言えます。
普段は苦虫を噛み潰したような顔をされていますが、講座の上ではその顔がご隠居さんになったり、与太郎になったり、熊さん、はっつぁん、若旦那、花魁、おかみさん、丁稚さん…
老若男女とわず様々な人物に変わり、お客はその芸の世界に没頭してしまいます。

落語の種類を分けるときに、古典と新作に分けることができます。
古典とは「饅頭こわい」や「寿限無」のような昔からある噺。
新作とは近年になって作られた、現代テイストの強い噺です。

小三治師匠は古典落語の大家で、本当に江戸落語の真髄のような芸をされています。
その一方でマクラが面白すぎる噺家さんとしても知られています。

マクラとは落語の中で、最初に語られる話のこと。
本編に入る前の予備知識や、小噺などを話すことによって、本編の落語により入りやすい形になります。

マクラにもある程度形があり、だいたいこの噺をするときにはこんなマクラといったものが多いですが、小三治師匠は少し違います。
主に、自分の体験したことや面白いなぁと思ったことを語るのですが、これがめっぽう面白い。
芯となる話芸が素晴らしい方なので、何気ない話でも本当に情景やちょっとした面白さが心地よく、いつまでもそのなんでもないような話を聞いていたくなります。
時にはマクラだけで1時間話してしまうこともあるそうです。


この落語家論では、最初の方は小三治師匠の、若手落語家へ向けた論説などから始まります。
この部分も大変面白いです。落語家というものがどのようなものか、しきたり、伝統、江戸の粋などについても言及されており、我々素人が読んでも落語を聞くときや日常生活に照らし合わすことができる話が沢山出てきます。

と同時に、話は食べ物の話や、趣味の話にそれていきます。
スパゲティーの話、美味しい塩の話、美味しいお酒の話etc・・・

文章ではありますが、まさしく小三治師匠のマクラに通じる世界がそこには展開されています。
真面目な話なんだけれども面白い。可笑しい。
文章からもその芸風がにじみ出ている少し変わった落語の本です。

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