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明治時代の大奇人。唯一無二のジャーナリズム!!  『学術小説 外骨という人がいた! 』

学術小説 外骨という人がいた! (ちくま文庫)学術小説 外骨という人がいた! (ちくま文庫)
(1991/12)
赤瀬川 原平

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奇知溢れる表現法

「スコブル」や「滑稽新聞」などで言葉遊びやパロディを展開して、文字のツラで意味の世界をぶっ叩き、お上に対しては「テんで話にならぬ大馬鹿者…」「テ柄にもならぬ事を威張る…」と痛烈な批判をあびせた反骨ジャーナリスト、宮武外骨。美学校の階段教室や武道館、後楽園球場を会場に、現代の外骨・赤瀬川原平がそのスーパーモダンな雑誌表現を講義する“学術小説”。(「BOOK」データベースより)


時は明治。
毒の効いたジャーナリズムで世間の賞賛を浴び、一方で政府からは疎まれたジャーナリストがいました。
その名は宮武外骨。とんでもない名前ですが、これも本名です。
もとあった自分の平凡な名前が嫌になり、改名。
どこに行っても本名と信じてもらえなかったので、「是本名也(これは本名です)」と彫られた印鑑を作り、署名には捺印を欠かさなかったそうです。

明治時代に様々な権力に対して屈せず、そのジャーナリズム精神と毒っ気で権力と戦ってきた外骨さんを、これまた変わった表現で日本のアートに足跡を残す赤瀬川原平さんが四苦八苦しながら文章で描き出してくれています。
(赤瀬川原平さんといえば、千円札裁判や超芸術トマソンで有名な芸術家です。また、芥川賞作家という一面も持っています。)
表紙の写真は外骨さんに扮した赤瀬川さん。ネット上で、実際の外骨さんのお写真がありましたがかなり似ていると思います。


この本では、外骨さんが発行した諸雑誌の紹介と共に、その天衣無縫の表現方法を紹介しています。
実際に雑誌のコピーなどの資料がたくさん載っているのですが、これが面白い!
明治時代、もちろんパソコンもワープロもなんにもない時代。写真表現だってなかなかすんなりいかないような時代なのに、どんな頭があればこんな表現方法を思いつくのか。

その中でも私が一番感動した表現方法を紹介します

当時は、パソコンなどはないので、一個一個鋳造された文字を選んで文章をつくり、板に組んで印刷をおこなわなければなりません(活版印刷)。
そんな中、当時も文字だけでなく句読点や○、■などの記号もすでに存在していました。
外骨さんは明治の時代にそれらの記号を使って、現代の絵文字に通じることを雑誌上で表現したのです。

▲を縦に積んで、五重塔を表現したり、大小の□を組み合わせて機関車を作ったり。
●▲■の組み合わせだけで海に浮かぶ軍艦を表現したりもしています(時代を感じます)。

現在であれば、絵文字、アスキーアートが当たり前の時代です。
江戸時代から、文字や絵を使って絵を表現する手法はすでにありましたが、記号で絵を表現したのは外骨さんが初めてではないかと思います。

当時の活版印刷などは技術の関係などもあり、表現方法にかなりの制限があったはずです。
そこをアイディアと奇知で数々の新表現をぶち上げていった外骨さん。
これは、あらゆる権力に屈しないという意思も作用して、表現の束縛から開放された者だからこそできた勇気と胆力の産物であるとも言えます。



この他にも腐敗した権力に立ち向かう外骨さんの軌跡の資料が沢山載っています。
読み物としてももちろん面白いですが、芸術的、文化的、歴史的資料としても十分に満足できる本だと言えます。
また、赤瀬川さん自身が、外骨さんの著作に感じた感動を伝えるために、単なる解説に収まらない文章で試みているのも見どころです。

今の時代でも楽しい、面白い表現物は沢山ありますが、100年前にもこんな面白いものがあったのかと斬新さを感じるはずです。
人によっては、目からウロコがこぼれ落ちるかもしれません。





私が外骨さんのことを知るきっかけとなった水木しげる先生の漫画です。この中に『宮武外骨』という、氏を紹介した漫画が載っていてます。水木御大の漫画ならではの面白さとわかりやすさを兼ね備えた作品です。
神秘家列伝 (其ノ2) (角川ソフィア文庫)神秘家列伝 (其ノ2) (角川ソフィア文庫)
(2004/10)
水木 しげる

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