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渋澤龍彦の美学 『エロスの解剖』

幻想的
07 /14 2011
エロスの解剖 (河出文庫)エロスの解剖 (河出文庫)
(1990/07)
渋澤 龍彦

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深い文化

ヨーロッパで使用された姦通防止用の奇妙な道具〈貞操帯〉に関するさまざまなエピソードを収集した「女神の帯について」。乳房に関する男性のエロティックな趣味の変化から、男性の〈乳房コンプレックス〉を考察する「乳房について」。ポルノグラフィーについてその豊かな知識を披露する「エロティック図書館めぐり」など16篇を収録した。エロティシズムをめぐるエッセイ集。 (「BOOK」データベースより)


渋澤龍彦氏がエロスについて語ると、これほどまでに深みのある作品が生まれるとは。
正直読みながらドキリとしました。

エロスの解剖とありますが、日本語でいう「エロい」内容とは少し違います。
もっと性の意味合いや楽しみ、文化を突き詰めて、古今東西の例を引き合いに、渋澤龍彦氏の論説が光っています。

本書の中で「エロティック図書館めぐり」という項があります。
欧州のほうでは、昔からそのような書物を図書館は収集していたようです。
しかし、それらの部屋は一般開放されるわけでもなく、「地獄室」だの「秘密室」だのと基本封じられてとのこと。
その中には古今東西の好色文学が収められており、学術的にも大変価値があるそうです。
普通ならば、そのような本を毛嫌いする国ならば焼き捨ててしまわれていそうなものを、厳重に保管してあるというところに、人間の本心の面白さを感じます。

エロティック、エロスに関することは歴史、文化と照らし合わせた上で欠かすことのできない要素です。
日本で言えば、浮世絵の文化などは春画(エロティックな浮世絵)を引き合いに出さなければ語ることはできません。
近代の西洋美術なども、肉体を性的(人間的)なものとしての描写が認められたところに発展のきっかけがあるとも言えます。

誰よりも、文化的なエロスに関して精通していた渋澤龍彦氏が書いた本ですから、その眼差しの鋭さは人間の歴史の内部にまで迫っています。
様々に絡み合うエロスの文化を、渋澤龍彦氏の手によって切り分けられたその文化を、本書で味わうことが出来ます。



関連記事→奇人達の履歴 『妖人奇人館』

コメント

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はじめまして

ブログ村のトーナメントでお見かけしたのですが、渋澤龍彦さんの著書を取り上げられてたんで、興味を持ちました。「異端の肖像」と「世界悪女物語」を読んだことがあるのですが、こちらも面白そうですね。

yuccalinaさん、コメントありがとうございます☆

澁澤さんの著書はどれも独特の質感があって好きです。中でも「エロスの解剖」はなにか人類の歴史で明るみになり辛い確信に触れているような、そんな気がしました。
おもしろく、オススメですよ☆

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