スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

守田一郎が黒髪の乙女と大文字に行くには  『恋文の技術』

恋文の技術恋文の技術
(2009/03/05)
森見 登美彦

商品詳細を見る


嗚呼貴方は阿呆でした

京都の大学から、遠く離れた実験所に飛ばされた男子大学院生が一人。無聊を慰めるべく、文通武者修行と称して京都に住むかつての仲間たちに手紙を書きまくる。手紙のうえで、友人の恋の相談に乗り、妹に説教を垂れ―。 (「BOOK」データベースより)


主人公守田一郎は遠く離れた能登半島から関係者各位に文通を始める。
そこには机上の空論と阿保丸出しの熱く無益な内容に満ちたもの。
守田一郎の出した手紙から見えてくる阿保が目指した恋文の技術とは。


作者は『夜は短し歩けよ乙女』や『四畳半神話大系』などでおなじみの森見登美彦先生です。
この本の進み方はちと変わっております。
主人公の守田一郎が出し続ける文通のみが掲載されています。
返事の手紙は一切載っておらず、すべては守田一郎が出す手紙の内容から、ストーリーの展開を想像していく形になっています。


守田一郎は同時に複数人と文通のやりとりをしています。
なぜそんなに文通をするのか。文通武者修行中かつ阿保だからです。
複数人に出す手紙の内容から、立体的に守田一郎の周りに起こっているストーリーが建ち上がってきてどんどんと全貌が見えてきます。
マシマロに似た友人の恋、高等遊民を目指す妹、変なスタミナドリンクを愛飲する先輩、サディスティックな先
輩、家庭教師時代の教え子、締切から逃れたい森見登美彦 等など…
彼らが繰り広げる特に益もない行動が守田一郎を一喜一憂させ、物語を展開させていくのです。

私の中では、今まで読んだ森見登美彦作品の中ではベスト3に入るぐらい気に入りました。
展開されていく物語のなんとも言えない阿呆っぷり。
ハラハラもドキドキもなく、ただただリラックスして笑える本です。

森見登美彦にでてくるキャラクターはどうしてこんなにも愛おしい情けなさを持っているのでしょうか。
現状で優秀でもなければ、大器晩成のかけらも見えない。
机上の空論にのたうちまわりながらも、肩の荷はすっかり下ろしている感じがしていて好感が持てます。
良い意味で、大学生が持つ阿保さを象徴したようなキャラクター達だと思います。

秋の夜長にリラックスして読書を楽しめました。
今までに文通をしたことがある人もない人も、守田一郎の気分に浸って思いをめぐらしながら本を読み進めてもらえればと思います。


関連記事→清楚なお嬢さんが主役です。 『夜は短し歩けよ乙女』
      美女と竹林は当価値なのか 『美女と竹林』

この記事へのコメント

- ジャイ - 2011年10月16日 09:57:10

愛おしい情けなさ。主人公がそんな状態なので、他のキャラの個性が引き立ち、活きてくるんですよね。森見小説の数作品に共通する特徴かもしれません。
私、名前を忘れましたが、この小説に登場する女王様な感じの先輩が好きです。有頂天家族の弁天様に通じるところがある気が。

- 図書館男子 - 2011年10月16日 11:50:32

ジャイさん、コメントありがとうございます☆

主人公が他キャラの個性を引き立てる。いいですね!そしてそれらの他キャラが主人公に還元されて物語が膨らんでいくような気もします。

大塚先輩ですね。たしかに弁天様とちょっと似てるかも!黒髪の乙女と若干かけ離れた女性キャラクターもまた良いアクセントとして物語を引き立ててくれています。

トラックバック

URL :

プロフィール

図書館男子

Author:図書館男子
図書館好きの管理人が、様々なジャンルの本を紹介しています。特にお気に入りなのは、江戸、落語、アート、デザイン系の本。相互リンク随時募集中!

検索フォーム
カテゴリ
未分類 (0)
実用書 (71)
デザイン (38)
アート (32)
漫画 (28)
新書 (22)
文庫 (8)
江戸 (13)
落語 (20)
サブカル (10)
幻想的 (9)
ドキュメント (7)
学術 (9)
雑誌 (6)
ライフ (28)
小説 あ行 (16)
アガサ クリスティー (1)
安部 公房 (1)
芥川 龍之介 (1)
有川 浩 (2)
池上 永一 (1)
五木 寛之 (1)
伊坂 幸太郎 (3)
ウィリアム・サマセット モーム (1)
ウィンストン グルーム (1)
江戸川 乱歩 (2)
遠藤 周作 (1)
押井 守 (1)
小説 か行 (4)
カミュ (1)
川村 元気 (1)
貴志 祐介 (1)
ケストナー (1)
小説 さ行 (23)
桜庭 一樹 (1)
佐藤 多佳子 (1)
サン=テグジュペリ (1)
J. R. R. トールキン (1)
J.D. サリンジャー (1)
J‐P・サルトル (1)
志賀 直哉 (1)
C.W. ニコル (1)
司馬 遼太郎 (9)
澁澤 龍彦 (2)
ジャンニ ロダーリ (1)
ジュール・ヴェルヌ (2)
ジョン スタインベック (1)
小説 た行 (14)
ダニエル キイス (1)
太宰 治 (2)
谷崎 潤一郎 (3)
チャールズ ディケンズ (1)
筒井 康隆 (1)
恒川 光太郎 (1)
トーベ・ヤンソン (1)
ドストエフスキー (2)
トマス・H・クック (1)
トルーマン カポーティ (1)
小説 な行 (10)
中 勘助 (1)
梨木 香歩 (4)
夏目 漱石 (2)
南條 範夫 (1)
西尾 維新 (1)
日本児童文芸家協会 (1)
小説 は行 (9)
坂東 真砂子 (1)
ピエール・シニアック (1)
東野 圭吾 (2)
ヘッセ (1)
ヘミングウェイ (1)
星 新一 (2)
堀口 順子 (1)
小説 ま行 (38)
万城目 学 (6)
松岡 圭祐 (1)
三浦 しをん (6)
三島 由紀夫 (1)
三津田 信三 (1)
ミヒャエル・エンデ (1)
宮木 あや子 (1)
村上 春樹 (8)
村上 龍 (1)
森見 登美彦 (12)
小説 や行 (6)
八木沢 里志 (1)
柳 美里 (1)
夢野 久作 (2)
山田 風太郎 (1)
よしもと ばなな (1)
小説 ら行 (2)
リチャード・バック (1)
ロアルド・ダール (1)
小説 わ行 (2)
和田 竜 (2)
取得物@動画など (13)
図書館 (19)
雑記 (22)
購入日 (7)
J. K. ローリング (1)
柳広司 (1)
冲方 丁 (1)
坂木 司 (1)
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
Twitter
tosyokandanshiをフォローしましょう
カウンター
最新トラックバック
フリーエリア
図書館男子さんの読書メーター
リンク
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム
検索フォーム
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。