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腐れ大学生の始まり 『太陽の塔』

太陽の塔 (新潮文庫)太陽の塔 (新潮文庫)
(2006/05)
森見 登美彦

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阿保の伝説、ここにあり

京大5回生の森本は「研究」と称して自分を振った女の子の後を日々つけ回していた。男臭い妄想の世界にどっぷりとつかった彼は、カップルを憎悪する女っ気のない友人たちとクリスマス打倒を目指しておかしな計画を立てるのだが…。 (Amazonの商品説明より)


前回の日記、『きつねのはなし』の作者、森見登美彦さんのデビュー作です。

ご存知、森見流腐れ大学生の始まりともいえる作品。
阿保らしい妄想と机上の空論。
男臭い仲間たちと、彼らを出し抜くような淡い恋心。
笑いと胸キュンがいい具合に交じり合った良作です。

私事ながら、今年は森見さんの作品にどっぷりはまった一年でした。
ちょっと昭和っぽい登場人物達と、森見さん独特の台詞回し。
馬鹿馬鹿しいのだけれど、手放しで馬鹿にできないどこか共感する展開。
時にはシリアスな作品もあるけれど、概ね阿保なノリの森見作品に2011年は大いに癒されました。

この『太陽の塔』で今現在(2011年、年末)発行されている森見さんの書籍を全部読んだことになります。
本作は、この後に書かれることになる『四畳半』や『夜は短し…』の世界観の原型がしっかりと出来合っています。
もう、キャラクター達が愛すべき阿保。
青春のやり場を間違った方向に棚上げした、腐れ大学生の七転八倒には相変わらず笑わせていただきました。

今作の主人公”森本”は意外や恋愛経験者兼失恋経験者。
彼を捨てた女性をめぐる珍奇な争いや、彼を取り巻く女っ気のなさそうな友達連中。
有り余るエネルギーと青春、ちょっぴり切ない恋愛の入り交じった素敵な物語に仕上がっています。

本作でも言えることですが、森見作品ではファンタジー≒妄想の図式で成り立っていると思います。
登場人物達の溢れ出す妄想に、子供たちがファンタジーに惹かれるかのごとく、私たちは惹かれていきます。
別に妖精も、魔法も、不思議な冒険もなにもありませんが、森見作品の妄想には世知辛い世の中の疲れを癒してくれるような、そんなものがあるような気がします。
愛すべきかな腐れ大学生。彼らの行動が現実を非現実にし、浮世離れた世界を構築してくれるのです。

デビュー作だけあって、まだまだキャラクター達のはじけっぷりや台詞回しがこなれていない感じもあります。
その分フレッシュさや変な勢いはどの作品にも負けていません。
今後に続く、原点。良い!


関連記事(森見作品発売順)
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