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削ぎ落としの美学 『江戸のセンス -職人の遊びと洒落心』

江戸のセンス -職人の遊びと洒落心 (集英社新書)江戸のセンス -職人の遊びと洒落心 (集英社新書)
(2009/07/17)
荒井 修、いとう せいこう 他

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遊び心が粋を生む

扇子職人の浅草文扇堂主人が語り尽くす、江戸職人、庶民のセンス、発想、そして粋のスピリット。江戸の職人は円周率も知らないのに、なぜ文様を描けたのか。「見立て」「のぞき」、そして江戸流の「粋」とは。江戸と京都の職人の違い。江戸庶民の通な遊び。江戸のデザインの特徴等々、江戸職人、庶民文化の生き証人とも言うべき荒井修の膨大な知識を、案内人いとうせいこうがとことん引き出す。江戸のセンスが身につく一冊。 (「BOOK」データベースより)

●江戸ッ子ならではの粋

著者の一人、荒井修さんは老舗の扇子屋のご主人です。
東京浅草で生まれ育ち、公私ともに江戸ッ子の粋にとっぷり浸かってきた荒井さん。
自身の仕事にからめつつ、解説される江戸のセンスの秘密についての本です。

余白美といいましょうか。
日本の美意識の基本の中に、空間を多く空けるというものがあります。
その何もないところに、意識などの余白を傾けさせ美や面白みを感じてもらうということが多くあります。

本書の一番最初にも「のぞき」という言葉がでてきます。
どれだけ描かないか、モチーフを一部だけ描きそのものの大きさを感じさせるために用いる手法だそうです。
そうすることで、遊び心のある良いデザインが仕上がります。

●センス習得に必要なこと

大事なのは、技術や型をきちんと学ぶこと。
昔の職人制度では、自身の疑問など浮かぶ余地なしに、とにかく親方の言うことを聞くということが大事だったようです。
とにかく、徹底的に型を体に染み込ませ、それができるようになると一人前として独り立ち。
そこから初めて遊び心を加えながら、オリジナリティーのある粋なものが作れるようになるということです。

粋だ、オシャレだというものは、約束事を抑えた上で初めて生まれてくるものだと言えます。
型を習得せず、とにかく自由にやってもそれは「型無し」。
型を習得し、なおかつそれを超えたものを提案できれば「型破り」。
(この前亡くなった談志さんの名言です)
約束事をおさえた上での「型破り」だからこそ、そこに粋やセンスを感じるというわけです。

本書には、そのような約束事を楽しむ文化や習わしが事例と共に色々紹介されています。
また、江戸時代に生まれた面白いデザインも勉強になる事例ばかりです。

江戸は、はるか昔のこと。
しかしそこにあるセンスは親から子へ、親から子へと脈々と受け継がれているはずです。
だからこそ、落語や歌舞伎、能に狂言、和服に扇子などの文化が今でも美や面白いものの対象として受け入れられているわけです。
我々が感じるセンスや美意識、遊び心の源流が本書のなかに見つかるでしょう。


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