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沖縄を感じるファンタジー 『バガージマヌパナス―わが島のはなし』

バガージマヌパナス―わが島のはなし (文春文庫)バガージマヌパナス―わが島のはなし (文春文庫)
(1998/12)
池上 永一

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自由な巫女さん


「ワジワジーッ(不愉快だわ)」ガジュマルの樹の下で19歳の綾乃は呟く。神様のお告げで、ユタ(巫女)になれと命ぜられたのだ。困った彼女は86歳の大親友オージャーガンマーに相談するが…。あふれる方言、三線の音、沖縄の豊かな伝承を舞台に、儚い物語の幕が上がる。第6回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。(「BOOK」データベースより)



●豊かな島の、自由な主人公と変なオバァ

神のおつげで巫女になることを命じられた綾乃。
どこまでも自由奔放な彼女は、その運命からのらりくらり逃げ通そうとするが…
沖縄を舞台にした、自由と思いやりに満ちたファンタジーです。

読んでいると、一度も行ったことのない沖縄の景色がありありと浮かんできます。
豊かで、明るく、現代よりももう少し自由が許されていた頃の沖縄。

島時間が流れていて、ゆるやかで。
強い日差し、青い空、澄んだ風、綺麗な水、活き活きとした緑…
そんな島で、誰よりも自由に生きようとする主人公「綾乃」と、その友達「オージャーガンマー」。
オージャーガンマーは80過ぎのオバァですが、綾乃と共に自由に、そして楽しみながら島をかけめぐります。

年齢の離れた、へんてこなコンビ。
この二人が、美しい島の中で自由にあそびまわる光景は、眩しくあり、羨ましくあり。
すこし前までならば、普通にこんな光景があったのかもしれませんが、時間や制度に束縛された現代からはその光景すらファンタジーのように感じます。

●交じり合っている、「こっちの世界」と「あっちの世界」

この話のファンタジーたる部分は、島の神様と綾乃が交流する部分。
綾乃には、素質があるようで神様から巫女になるよう、懸命にスカウトされます。

このファンタジーに導入していく感じが、沖縄を舞台にしているせいか割とすんなりと受け入れられます。
そんなに文明に染まりきっておらず、まだまだ神様や精霊が息づいているようなところで暮らす主人公たち。
こっちの世界とあっちの世界が、比較的ゆるやーかに交じりあっている感じのする島暮らし。

神様と綾乃のやりとりも、どこか友達付き合いのよう。
神秘的な感じはせず、暮らしの延長線上にある親しみ深ささえ感じます。
(でも相手は神様ですから、逃げ回る綾乃はちょっとだけ神罰なども受けたりしますが。。。)

島の美しさからは、自然の恵みを感じられて。
綾乃たちのやりとりからは、自由に生きることの輝きを感じられて。
読書しながらそんな世界に浸っていくと、どこかプチリゾートのような感覚もして。。。

読み終わったあと、「沖縄に行きたい」っとなること間違いなしです。



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