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『もの食う人びと (角川文庫)』~どんな世界にだって食はつきまとう~

もの食う人びと (角川文庫)もの食う人びと (角川文庫)
(1997/06)
辺見 庸

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生きて食うことの凄まじさ


人は今、何をどう食べ、どれほど食えないのか。人々の苛烈な「食」への交わりを訴えた連載時から大反響を呼んだ劇的なルポルタージュ。文庫化に際し、新たに書き下ろし独白とカラー写真を収録。(出版社/著者からの内容紹介)

「発見!角川文庫祭り2012」収録


●食文化とは違うなにか

陳腐な言葉かもしれませんが、凄まじい。
日本しかしらない私にとってはショックが大きく、揺さぶられる本でした。

著者が世界をめぐり、その土地に住まう人とその食をルポしたもの。
紛争地、チェルノブイリ、スラム、刑務所、僻地などなど・・・
様々な人種、境遇の中で食を通じて世界をえぐり出すといった印象をうけます。

人は、生きるために食う。
世界どこにいても、どんな悲惨な境遇でも同じ。
それは残飯であるかもしれない、救援物資かもしれない、野山のものかもしれない。
その食事は決して、安全とは言い切れない。しかし食う。
人のしぶとさと悲しさの様々な局面が入れ替り立ち替り見えてきます。

●文化を破壊する食も

ジャングルの奥地に住む原住民が、自然災害のために暫定的居住地に住まうことになったという話。
救援物資などによって、近代文明の味に慣れていき、その部族の独自の文化がどんどんと破壊されていく。
あるいは、それを受け入れることができず、体を壊すものもでてくる。
登場した部族の長老がネスカフェを愛好しながらも、森の生活に戻りたいと願う心。
仮に、戻れたとしても一度染み付いた文明のシミはかつての部族の平穏を取り戻す障害となることでしょう。

フィリピンでの悲劇の話。
日本軍が人肉食を行なったという暗い歴史。そしてその犠牲となった原住民の気持ち。
「生きる」という前では、人は何でも食べることができるのか。
割り切れない複雑な感情が押し寄せてきます。

●「食う」を改めて考える

体当たり的な取材といいますか。腹を割った取材といいますか。
とにかく、すべてが生々しい。
一緒に食を囲むこと、すなわち人と交わること。
食べることと生きることの結びつきの強さというものをものすごく感じる内容です。

まったく、綺麗事など無い世界の姿。
ここに救いはないのかと、ショックを受ける描写の数々。
そのリアリティーを前にして、あらためて「食う」ということを見つめ直させられる本でした。


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