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『異端の肖像 河出文庫』~上流階級の狂気 ~

幻想的
08 /23 2012
異端の肖像 河出文庫異端の肖像 河出文庫
(1983/06)
澁澤 龍彦

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金と暇と血


狂気と偽物による幻想の城ノイシュヴァンシュタインを造らせたルドヴィヒ二世。神秘思想を体現した二十世紀の魔術師グルジエフ。数百人ともいわれる幼児虐殺を犯した享楽と残虐のジル・ド・レエ侯。ルイ十六世の処刑を主張した熱狂的革命家サン・ジュスト…。彼らを魅了した魂と幻影とは何だったのか。そして孤独と破滅とは何だったのか。時代に背を向けた異端児達を描くエッセイ。 (「BOOK」データベースより)


●金と権力の果て

澁澤龍彦氏のエッセイ。
今回も変わった人がわんさか出てきました。

この『異端の肖像』に紹介される人物は、みな高い身分の方ばかり。
王様、皇帝、貴族、教祖、etc…
そんな一見恵まれた地位にありながらも、どの方も奇っ怪な行動を残しています。

金と権力がある分、その血なまぐささは段違い。
聖女ジャンヌダルクと一緒に戦いながらも、戦争後狂気に身を沈めていったジル・ド・レエ侯。
短い人生の中で、その地位を暴虐の限りに使った皇帝ヘリオガバルス。
これらなどは、理性というものを疑うような凄惨さに満ちた狂宴を行なっています。

●欲望を具現化するには

他にも、殺戮こそ行わなくとも奇異な生涯を送ったものばかり。
全てにおいて、性と金と夢想によって、その奇怪さが成立しているということです。

金があることによって出現する、奇っ怪な現実。
夢想とその現実の往復でますます屈折していく異端者たち。
現代では存在が許されない、倒錯した現実が描かれています。

なんでこんなことしたんだ?っと疑問に思うことだらけ。
そこに澁澤龍彦氏の解説や見解が入り、そこにでてくる人物たちの悲しみの面などもちょいちょい見えたり。
一面的でなく多面的に見ることができるのが、単なる奇人本と違った良さを持っています。

暗く、グロテスクで、淫美さをたたえた世界。
嫌悪と誘惑が同居する、教科書には無い歴史の裏ページ。


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