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『毒になるテクノロジー iDisorder』~21世紀の『沈黙の春』か?~

毒になるテクノロジー iDisorder毒になるテクノロジー iDisorder
(2012/08/24)
ラリー D.ローゼン、ナンシー チーバー 他

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じわじわと怖くなる

アメリカ766人への大規模調査で明らかになったソーシャルメディア、スマートフォン、マルチタスクなどのテクノロジー/メディアが脳や心に与える影響。専門家による危険度チェックと対処策つき。(「BOOK」データベースより)


●精神に与える影響

一日の大半を、メディア使用に費やす人間が増えてきた現在。
それらメディア、テクノロジーの影にある、人体への害に迫った本。
「毒になる」とかなりきつめの表現ですが、なかなか納得できる内容です。

携帯電話が流行り始めた頃、携帯の電波は脳に影響を及ぼすのではないかということが騒がれました。
しかし、本書で問題とされるのはそのような物理的作用がもたらすものとは違います。
あくまで、われわれが日常的にパソコンやスマホなどのテクノロジーを使用する過程で、どのような害がおこりうるのか。その日常的行為から生じる害を、毒としています。

近年よく見る光景のなかに、どこへ行ってもスマホをいじくる人というのが挙げられます。
よくもまぁ、あんなに画面とにらめっこして飽きないものなのかと呆れるぐらい。
一番悲しいのが、カップルがお互いの顔を見ずに、スマホを見ているとき。デートの時ぐらい、お互いの顔を見ようよ…と悲しい気持ちになります。

他に多いのが、常にフェイスブックを気にする人。なにかあったり、写真を撮ったりするとすぐにフェイスブックにアップしないと気がすまないような人たちも増えてきた今日この頃です。
一日外をぶらつけば、いったい何人のテクノロジー中毒者に出会えることか…

これらの行為を、精神医学的な検知から攻めているのが本書。
案外当たり前になりすぎて、見過ごしてきたような光景でも、よくよく考えると精神的疾患の症状の現れであることを、指摘しています。

読んでいると、自分にもまさに当てはまるようなこともありました。
たとえば、”ファントム・バイブレーション・シンドローム”というもの。
携帯が着信していないのに、バイブがなったような気がして、ポケットなどを気にする症状。
これは、何回かあります。うーん、これもある意味、テクノロジーの害のうちと言われればそうかも。。

日常を振り返ってみて、漠然と何かしらのそういうメディアをいじくったり、アクセスしたりする時間は多くはないか。
改めて自分に問いかけてみると、、、結構多いことに気づきます。
(仕事中、何かを調べるついでについつい長時間ネットサーフィン。生産的では無い行為)
この”漠然と”というのが曲者。
漠然が積もり積もっってくると”莫大”に。
莫大な時間を無為に使っているだけでも、これも立派な害毒。
とにかく、自分の行動を見つめ直さにゃと、危機感を与えてくれる内容です。

●強迫性障害、自己愛性パーソナリティー障害、etc・・・フェイスブックなどから見えてくるもの

私は、仕事上一日中パソコンとにらめっこしているので、逆に仕事以外ではあんまりそういうものとつながりたくないほう(仕事だけで、すでに目や肩がボロボロ)。
スマホユーザーですが、フェイスブックやツイッターなどはブックマークしておらず、常にそういうものにつながらないように極力心がけています。

それというのも、昔mixiをやっていたとき、ことあるごとに携帯でチェックしなければ気がすまない時期があったからです。
こういうものは、つながるきっかけがあると、ずるずるアクセスしてしまうもの。
思い切って、断ち切ってしまえば、それほど気になるものでもありません。

気をつけてはいるものの、やはりある程度のテクノストレスはかかっていますね。
現代の若者で、テクノストレスに無縁という人は、ほんとうに希なのでは。
便利な時代は、便利なだけの代償がつきまとうということなのでしょうか。

現代ではSNSに繋がっていないと心配で心配で社会生活に支障をきたす人さえも増えてきているようです。
現代のコミュニケーションはテクノロジーありきで進化しているのも事実。
より良い関係を築くはずが、逆にテクノロジーが足かせとなり、日常をがんじがらめにして精神を蝕んでいくという罠。それこそテクノロジーが毒となりうる事態です。

『沈黙の春』という本というベストセラーがあります。
その昔頻繁に使われていたDDTという農薬の毒性や危険性について指摘したもの。
当時万能とされていたDDTへの指摘は、日常的にそれを使っていた人々にとって衝撃的な内容だったはず。
本書を読んでいると『沈黙の春』を思い出さずにはいられませんでした。
もしかしたら、我々がこうして使っているテクノロジーには人体に対してとんでもない危険性をはらんでいるものなのかも・・・

長時間テクノロジーにアクセスし続け、それらからの莫大な情報にさらされ続ける脳。
今までの個の概念が変わり始め、常に誰かとつながっているということが可能な時代。
もし、本書の内容がすべて正しければ、現代人は24時間毒に侵され続けているようなものです。
本書が指摘しているような、それらの行為が与える影響は、今後ますます顕在化してくることでしょう。


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