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『裸はいつから恥ずかしくなったか―日本人の羞恥心 』~裸とエロは別物

裸はいつから恥ずかしくなったか―日本人の羞恥心 (新潮選書)裸はいつから恥ずかしくなったか―日本人の羞恥心 (新潮選書)
(2010/05)
中野 明

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裸は顔の延長だった


「男女が無分別に入り乱れて、互いの裸体を気にしないでいる」。幕末、訪日した欧米人は公衆浴場が混浴なのに驚いた。当時の裸体観がいまと異なっていたのだ。しかし、次第に日本人は裸を人目に晒すことを不道徳と考えるようになり、私的な空間以外では肉体を隠すようになった。その間、日本人の心の中で性的関心がどのように変化していったかを明らかにする。 (「BOOK」データベースより)


●どうして裸を恥ずかしいと思うようになったのか

裸はいつから恥ずかしくなったか?
そんな疑問なんて、日常生活では浮かんできません。
現代に生きる我々は、当たり前のように「裸は恥ずかしい」という感情を持っていて、そう思うことが自然だと感じているはずです。

しかし江戸のこととか調べていると、意外と昔の人は裸に無頓着だったということがわかってきました。
現代のような形の下着を身につける文化もなかったし、春画のようなものをみても、女性の胸を性的対象として描いている様子はない。
それでは、今の我々日本人が持っている裸を恥ずかしいと思う感情はいったいいつのころから、どのように形成されたのか。
その疑問に答えてくれたのが本書です。(タイトルそのものがズバリですが)

我々の文化とか、考え方ってかなり西洋文化が入り込んでいるのだなっと再認識。
そういうのって、戦後からのものかと思っていましたが、明治に入ってからがその影響がすさまじい。
文化っていうか思想的なもの。
その最たるものが、「裸=羞恥」といった図式。

それらがない日本人に対して、政府は法律などで裸を取り締まり、裸は恥ずかしいものなんだよという考え方を徹底させたようです。
裸=羞恥っていうのはなんだかすごくキリスト教的。
アダムとイブが知恵の実を食べて、最初にしたのが裸を恥ずかしがることだったみたいですし。

そういう思想を持っているから、日本に来た西欧人達は、日本の裸にたいするあけっぴろげさに度肝を抜かれたよう。
「なんて野蛮な民族だ!ハレンチにもほどがある!!!」ってな具合。

でも当の日本人にしてみれば、なにをそんなに恥ずかしがるのか皆目見当がつかない。
なぜなら裸=羞恥と結びつける文化がなかったから。
裸なんて顔の延長みたいなもの。とくに性的なニュアンスと結びつくこともなく、太平の世を無事過ごしてきたのですから。

●日本文化ってなんなのさ

結局、西欧思想や政府の一所懸命な政策により、日本人はめでたく(?)裸=羞恥心の図式を手に入れたわけです。
それは果たして良かったのか、どうなのか。
なんだか、すごく自由な気持ちのあり方を、もしかしたら失ってしまったのではないのだろうか。
もしかしたら、わりと無邪気だった日本の性観念が変な方向に歪んでしまったんじゃないのだろうか、などなど。
読み終わってみると腑に落ちないこと沢山。

失ったものは元に戻すのは大変ですね。
今更、裸=羞恥の感情をなくせっていっても無理ですし。現代メディアをみてもわかるように裸=性の概念はいやってほど、日本人に絡みついているし。

日本人は世界的にみて助平という評価があるようですが、明治期、このような外部の強制的な圧力によってそのように歪んでしまったのかもとさえ思います。
だから、日本の性文化も明治以降は純粋な日本文化たりえないのではないかとも思ったり。

自分たちが当たり前だと思っていることも、純然たる暮らしから生み出されてきたものではないのだと知ると、ちょいと悲しくなったりもします。
今当たり前にまかり通っていることが昔は全然違った。それではその転換期はいつで、なぜそのようになったのか。
文化って調べてみると、一筋縄ではいかない。


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