スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『日本の民家 (岩波文庫)』~ありふれたものに価値を見出す~

日本の民家 (岩波文庫)日本の民家 (岩波文庫)
(1989/03/16)
今 和次郎

商品詳細を見る



建築と生活

考現学の創始者として知られる今和次郎による日本民家についての簡潔な入門書。大正年間、柳田国男らの手引でおこなった民家調査にもとづいて書かれたものだが、村の人々の日常生活を含めて描きだされた民家の小宇宙は、しみじみとした郷愁に満ちてあたたかい。著書自身によるスケッチを多数収録。(「BOOK」データベースより)


●民家と今和次郎氏

今年の夏、大阪の万博公園な内にある国立民族学博物館で、本書の著者である今和次郎氏の特別展が行われていました。
それまで、氏のことは知りませんでしたが、展覧会での莫大な量のスケッチと観察眼に圧倒されたのを覚えています。
もともとデザイン専攻の方だったようで、そのスケッチにしても、とてもわかりやすい上に、面白くまとめられていました。

考現学というちょっと変わった学問を生涯にわたって行い続けた今氏。
そんな今氏のわりと初期の仕事がまとめられたのが本書のようです。

とりわけ、建築などには興味はないのですが、この本はおもしろかった。
今では、どの地方に行っても消滅してしまったような、古き時代の土地どちの民家が、詳細なスケッチとともに掲載されています。

イメージするならば、日本昔話にでてくるおじいさんとおばあさんが住んでいる家。
今まで、ぼんやりとしたイメージでしかなかった「民家」というものが、しっかりとしたビジュアルで記録されているから面白い。
これは、大人が見ても面白いですが、案外子供さんなんかに伝えたいもの。
時代が経るにしたがって、昔話などの持つ生活風景のイメージが失われ、妙にリアリティーのない世界の話としてしかイメージされなくなる恐れがあるから。
本書にあるような、民家のイメージをしっかりと知っておくだけでも、その昔話の持つ世界観に対して奥行を持つことができるはずです。

●各地の家の違いが明確だった頃

もう一つ面白いのは、日本各地の色々な民家が載っていること。
この”色々な”ってのがミソ。

現代では、日本全国ほぼおなじようなつくりの家ばかり(寒冷地など気候条件で若干の差はありますが)。
それは流通が発達し、同じ材料同じ技術で家を作ることができるようになったからです。

本書に載っているのは、まだそれができない時代の民家の記録。
その土地の材料で、その土地の風土にあった、そういうものから建ち上がってきた民家の形があります。
山に近い家と、平地にある家でも違いはでてくるし、山間部と海辺では全然ちがう。
そういう違いをしることで、日本の風土の妙味みたいなものを感じることもできました。

我々の生活のルーツというか、そういうもの。
戦後のどこかで、経済が豊かになるにつれて断絶してしまったものの記録があります。


関連記事
『裸はいつから恥ずかしくなったか―日本人の羞恥心 』~裸とエロは別物

この記事へのコメント

残念! - 彩月氷香 - 2012年12月11日 09:51:48

建築が好きなんですよ。民家も。
でも、その二つを結びつけて考えたことがなかった気がします。
民家って確かに、ぼんやりと曖昧にしか捉えてないですものね。
この本、残念なことに絶版なんですね・・・
でも図書館にはあるようなので、今度読んでみます。

何が残念かというと、万博は家から近くてちょこちょこ出没しているのに、
この今和次郎氏の特別展を見逃していたという・・・。

きっと本を読んだら余計くやしくなるでしょうね(笑)
素敵な本の紹介、ありがとうございます。

No title - 図書館男子 - 2012年12月12日 00:35:16

彩月氷香さん、コメントありがとうございます☆
あっ!この本絶版なんですね。ということは図書館で巡り合えたことはかなりラッキーだったのかも!

今和次郎氏特別展残念でした!民家や建築だけでなく、町のファッションの移り変わりや、生活スタイルなどの変化をすてきなスケッチで紹介されていましたよ。たんなる情報としてだけではなく、一つの作品としてもそられらのスケッチを楽しめました♪
こちらの民家の本も面白かったですが、今氏の考現学についての本のほうがより展示会の内容に近いと思います。
参考にどうぞ☆

トラックバック

URL :

プロフィール

図書館男子

Author:図書館男子
図書館好きの管理人が、様々なジャンルの本を紹介しています。特にお気に入りなのは、江戸、落語、アート、デザイン系の本。相互リンク随時募集中!

検索フォーム
カテゴリ
未分類 (0)
実用書 (71)
デザイン (38)
アート (32)
漫画 (28)
新書 (22)
文庫 (8)
江戸 (13)
落語 (20)
サブカル (10)
幻想的 (9)
ドキュメント (7)
学術 (9)
雑誌 (6)
ライフ (28)
小説 あ行 (16)
アガサ クリスティー (1)
安部 公房 (1)
芥川 龍之介 (1)
有川 浩 (2)
池上 永一 (1)
五木 寛之 (1)
伊坂 幸太郎 (3)
ウィリアム・サマセット モーム (1)
ウィンストン グルーム (1)
江戸川 乱歩 (2)
遠藤 周作 (1)
押井 守 (1)
小説 か行 (4)
カミュ (1)
川村 元気 (1)
貴志 祐介 (1)
ケストナー (1)
小説 さ行 (23)
桜庭 一樹 (1)
佐藤 多佳子 (1)
サン=テグジュペリ (1)
J. R. R. トールキン (1)
J.D. サリンジャー (1)
J‐P・サルトル (1)
志賀 直哉 (1)
C.W. ニコル (1)
司馬 遼太郎 (9)
澁澤 龍彦 (2)
ジャンニ ロダーリ (1)
ジュール・ヴェルヌ (2)
ジョン スタインベック (1)
小説 た行 (14)
ダニエル キイス (1)
太宰 治 (2)
谷崎 潤一郎 (3)
チャールズ ディケンズ (1)
筒井 康隆 (1)
恒川 光太郎 (1)
トーベ・ヤンソン (1)
ドストエフスキー (2)
トマス・H・クック (1)
トルーマン カポーティ (1)
小説 な行 (10)
中 勘助 (1)
梨木 香歩 (4)
夏目 漱石 (2)
南條 範夫 (1)
西尾 維新 (1)
日本児童文芸家協会 (1)
小説 は行 (9)
坂東 真砂子 (1)
ピエール・シニアック (1)
東野 圭吾 (2)
ヘッセ (1)
ヘミングウェイ (1)
星 新一 (2)
堀口 順子 (1)
小説 ま行 (38)
万城目 学 (6)
松岡 圭祐 (1)
三浦 しをん (6)
三島 由紀夫 (1)
三津田 信三 (1)
ミヒャエル・エンデ (1)
宮木 あや子 (1)
村上 春樹 (8)
村上 龍 (1)
森見 登美彦 (12)
小説 や行 (6)
八木沢 里志 (1)
柳 美里 (1)
夢野 久作 (2)
山田 風太郎 (1)
よしもと ばなな (1)
小説 ら行 (2)
リチャード・バック (1)
ロアルド・ダール (1)
小説 わ行 (2)
和田 竜 (2)
取得物@動画など (13)
図書館 (19)
雑記 (22)
購入日 (7)
J. K. ローリング (1)
柳広司 (1)
冲方 丁 (1)
坂木 司 (1)
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
Twitter
tosyokandanshiをフォローしましょう
カウンター
最新トラックバック
フリーエリア
図書館男子さんの読書メーター
リンク
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム
検索フォーム
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。