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『神去なあなあ日常 (徳間文庫)』~森と生きる土地の暮らし~

神去なあなあ日常 (徳間文庫)神去なあなあ日常 (徳間文庫)
(2012/09/07)
三浦しをん

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ほっこり面白い!
私の中で、三浦しをんさんの作品では一番好きかも。
ぐぐぐっと入り込める内容に、一気に読んでしましました。

三重県の山奥、神去村を舞台に繰り広げられる、青春田舎ライフ。
ひょんなことで林業に就職することになった、18歳の主人公の成長模様が描かれています。

この神去村というところは、実際には三重県にはない架空の村です。
しかし、モチーフになった地域はいくつかあって、私の住んでいるところはその近く。
なので、この小説の風景がものすごく具体的に思い浮かぶことができました。

三重県の中、南部って、小説の神去村のように、森と山に覆われたところが非常に多いです。
今でも林業に従事する人が多く、自然を活かして生きるというスタイルがまだまだ残る地域。
なので、この小説の世界観は、私にとって日常的なものとして受け取ることができました。

主人公の勇気は春に神去村に来て、一年のあいだにものすごく成長していきます。
そのあいだに描かれる、村の四季。そして祭事や風習。
森という自然相手の仕事だからこそ、ちょっとした天候の変化やミスが命取りにつながりかねない。
だからこそ、神去村の人々は祭事や風習をとても大事にし、目に見えない物事や力に大いなる敬意を表しています。
近代化が進んだ都市部ではほとんど見られなくなった光景。
地域や神社のお祭りとも違うものです。
神去村の祭事、風習は自然信仰の色を強く残っています。
それは日々の暮らしから立ち現れてきたものであり、伝えられてきたもの。
暮らしに寄りそう、自然信仰の姿がじつにうまく描かれています。
それがあるからこそ、森と生きる神去村の姿に、いっそうのリアリティを感じるたのでしょう。

『神去なあなあ日常』の”なあなあ”。
これは「ゆっくりいこう」とか「まあ落ち着け」などのニュアンスがあるよう。
林業って木を相手にするから、すごく長いスパンの時間軸で物事を感がなきゃいけないことがあるようです。
「この木が成長して、伐採できるのは、、、うーん、、、30年後ぐらい先かな?」ってな具合に。
伐採するからこそ、次世代に向けての木々も育てていかなければならない。どれだけ世間のサイクルが早くなろうと、木の成長が早まるわけでなし。結果「なあなあ」な風土が築かれるわけです。

パソコンなんかみると、3ヶ月サイクルぐらいでどんどん進歩しているせわしない時代。
10年後の進歩時代の進歩を考えると、ときどき空恐ろしくなることだってあります。
そんな時代だからこそ、木とか自然のサイクルで生きる神去村の人々を見てほっとすることが必要なのかも。
そういう「なあなあ」なライフスタイル。急ぎすぎてるなって感じる時ほど、思い出したい言葉です。


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