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『ヘンな日本美術史』~アーティストの視点から愉しむ~

ヘンな日本美術史ヘンな日本美術史
(2012/11/01)
山口 晃

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日本画と現代の要素を匠に組み合わせ、新しい日本の図を提案していく現代アーティスト山口晃氏。
自身の経験と照らし合わせて紹介していく、一風変わった日本美術史の本。

これまで、日本美術史の本で面白いものに当たったことはありませんでした。
問題だと思われることの一つに、これまでの日本美術史をまんべんなく紹介しようとしているところ。
どの本も似たような内容で、その一つひとつの解説は薄っぺらめ。
もう一つの問題は、書いているのが学者だったり、大御所と言われるお爺さんだったりすること。
文書が固く、まどろっこしくて読んでいるうちに嫌になってくることが多いです。

この『ヘンな日本美術史』はこれまで見てきたものとは違い、おおいに愉しめた!
選ばれているものは、山口晃氏の観点から”ヘンだぞ”という基準のもの。
この絵のどういうところがヘンであり、なおかつそれがどう面白いのかなどなどを、丁寧に解説されています。
そして山口晃氏は、今をときめく現役現代アーティスト(変な表現)。
現代的なアートの視点を持ちつつも、自身の絵が日本画の歴史や技術をベースとしているところもあるので、造詣が深い。
とりあげた作品に対する、たしかな知識と自身の考え方の塩梅がとても良く、若干独断すぎる感もありますが考え方がしっかりしていて好感が持てました。

タイトルにも『ヘンな日本美術史』とありますが、一見してヘンなものが収録されているわけではありません。
(めちゃくちゃデフォルメが効いてたり、やたら可愛い日本画ばかりを集めた本もあることはあります。『日本の素朴絵』などは、割とゆるカワイイものばかり収録されていました)
どちらかというと、素人が見ても見過ごしがちなところを、うまくほじくり返して提示してくれている感じ。
そして解説を読んでいくと、なるほどヘンながらも面白い作品だと、すっぽり腹に収まります。

私は日本美術を、西洋美術や現代美術に比べて、どちらかといえば退屈だと思い込んでいました(江戸以降の浮世絵などは除く)。
しかし、この本を読むとちょっと視点が変わって、日本の美術に興味がわいてきました。(「ヘン」ということを主題におくことで、見え方がこんなに変わってくるとは・・・)
あんまり海外との交流がない日本で、どのように日本美術が熟成していったか。
そして現代人とは少し違う価値観によって、構成されている日本画などなど。
そういう歴史やその当時の思想に思いをはせてみると、今後日本美術がもっと愉しめそうです。

本の中で、共感した部分。その一部。
日本美術史の話と直接関係ないけれど。。。引用。
漫画家の方と云うのは逆で、見ないでもすらすら描く事ができます。自分の中に記号的な「型」があるからです。その代わりに、粉本から粉本を移したような、非常に浅い絵になってしまう人も中にはいます(中略)ものを見ないで、イメージの引き写しになってしまうのです。
漫画から漫画を写すのは悪いこととは言いませんが、根本部分がなっていない人をよく見かけます。それは現代の中学生とか高校生の絵やイラスト好きな子にこのタイプが多いです。たまにプロと呼ばれる人の中にもこんな人を見かけますが。。。うむむ、、、漫画やイラストだけでなく、絵が好きならばアートや実際のモチーフを見て描くということの重要性にも気づいて欲しいものです。

(アーティストが書く本って、どこか偏屈味が効いていて、同時に哲学的要素もぽこぽこ潜んでいて好きです。会田誠さんや岡本太郎さんの本にもその要素十分にあり。アーティストにも独特の「ヘン」な視点というものが確かに存在するよう。)

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