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『ザッツ・ア・プレンティー』~立川談志と家族愛~

ザッツ・ア・プレンティーザッツ・ア・プレンティー
(2011/12/22)
松岡 弓子

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読み終えたとき、思わず涙が出た。
私はあまり書籍で涙がでるようなことはありませんが、家族愛の深さに思わず胸が打たれました。

著者の松岡弓子さんは、一昨年に亡くなった立川談志師匠の娘さん。
青春期には非行にはしり、談志師匠をこまらせたという過去もあります。

本書は松岡弓子さんの日記を書籍化したもの。
立川談志師匠が亡くなる半年ほど前からつけられていたもので、入院、在宅介護、そして臨終までが記録されています。

日記で綴られる闘病生活。
立川談志師匠といえば、言わずと知れた破天荒で傍若無人とも言える人柄で人気を博した方。
好きなことをやりたいだけやった噺家の人生の最後は、あまりに過酷なものでした。
ガンによって、立川談志の命とも言うべき声を失う。
食事もできずに胃瘻処置。徐々に失われてくる体力。日々襲ってくる苦痛。
日記からはガンというものの怖さ、そしてそれを支える家族の過酷さが伝わってきます。
(ほとんど起き上がることのできない状態で『遺稿』を連載していたとは、改めて驚かされます。)

それでも弓子さんんはじめ、家族やまわりの人々は献身に介護につくします。
そこには深い深い家族愛があり、談志師匠の筆談からは、周りのものへの感謝と愛情が書かれていました。

でも、読み進めるほど悲しい。
ページを読み進めるほど、談志師匠の死へと近づいていくから。
(『スティーブ・ジョブズ 』を読んだときにも同じような感覚を味わいました。)
一ページ一ページとその時が近づいてきて、そしてそれと共に、弓子さんの悲しさや辛さ、そして父親への愛情の深さが痛いほど伝わってきて、やるせない気持ちになります。
最後には意識不明となり、いつ亡くなるかわからない状態に。
その時がいつ訪れるのかわからないままに待つ、家族の悲しみがひしひしと伝わってきました。
最後は家族に見守られて談志師匠はあの世へと旅立ちます。
それはとても幸せなことなのかもしれません。

私は昨年祖父を亡くし、その時家を離れていたので、最後を看取れませんでした。
ずっと入院していて、その数日前にお見舞いに行った時には、まだまだしっかりとしていたのに。
人はいつ亡くなるかわかりませんが、最後の言葉がけをできなかったのがいまでも心残りです。

弓子さんも、談志師匠が意識不明になる直前に会えず、最後の言葉がけができなかったことを悔やんでいました。
そのへんの部分に感情移入してしまい、最後に涙がでてきた次第です。
とても悲しい内容でしたが、その分家族を愛するということの大切さを再確認することができました。

カテゴリー的に、立川談志師匠を扱った本なので「落語」欄に入れるところですが、今回は「ライフ」欄に入れることとしました。




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