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『わけいっても、わけいっても、インド』~素朴なアート~

わけいっても、わけいっても、インドわけいっても、わけいっても、インド
(2009/08)
蔵前 仁一

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表紙の鹿のような動物の絵。
不思議な色彩、ボリューム、描き方。
知識とか理論とかすっとばした、力強さのある作品です。

著者の蔵前仁一さんがインドに行って、その地方地方の絵や建築、工芸物を探索するといった内容。
地方地方に昔から伝わってきた、土着のシンプルis素朴な作品群がなんとも心地よいです。

私も、普段から絵をよく描きます。
でもどちらかというと仕事関係の絵であって、作品というよりも、自分の中じゃ製品的な要素が強いかも。
描くのももっぱらパソコンで(基本的にアドビのイラストレーター)鉛筆とかのアナログ画材は、下絵の時しか使いません。
まぁ、そういうのが好きだし、良いのですが、時々めちゃくちゃアナログを欲する時がくるのです。
機械的な線もいいんだけれど、ムラやにじみや、その他人間のぬくもりが感じる絵。
そういうものが、発作的に恋しくなり、また描きたくなる時も。
そういう時に、児童画とか見るとほっとしたりするもんです。

さて、本書に紹介されているインドの作品(アートと工芸の中間をいくような作品群)。
古くから各地で伝えられてきた作品は、とてもアットホームな感じさえする素朴さをたたえています。
自分たちのために、一族、村のためだけに大切に大切に伝えられてきた、純なもの。

でも近年ではそうでもないよう。
旅行客相手への観光用に、お金を稼ぐために、絵を描く人のほうが多いんだとか。
観光客が望むような形で。たとえば自然素材で絵を描く村人というのがでてきましたが、それは観光客がそれを望んでいるから。たぶん自然素材を使っているほうが本物なのだろうと錯覚して高く買ってくれるからだということ。
ニーズに応えるために、素材、モチーフ、デザインがどんどん近代化されていき、古くから伝わる素朴さが失われているようにも感じました。

むろん、この人たちも生きるためにはお金を稼がなきゃならないし、そのためには少しでも売れるものを作るのはわかります。
そういう絵って、昔は生きるためのものではなく、生活を潤わすものだったはず。
それが、生活の糧へと移行することの弊害は、じわじわと将来へのツケとなるんじゃないかなって心配も。

本書にはカラー資料もけっこう掲載されていて、その中で見えたのは、素朴なものとアート的価値がありそうなもの半々でした。
私的には住宅の壁に描かれたような、売るためではない、彩をそえるための、そういったアート未満の素朴さあふれるもののほうがグッとくる。
実際に見てみたい。それら作品が商業臭さに犯される前に。
しかし、インドは遠い、、、



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