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『水木しげるの大冒険〈2〉精霊の楽園オーストラリア(アボリジニ)―妖怪の古里紀行』~精霊と妖怪~

水木しげるの大冒険〈2〉精霊の楽園オーストラリア(アボリジニ)―妖怪の古里紀行 (水木しげるの大冒険 (2))水木しげるの大冒険〈2〉精霊の楽園オーストラリア(アボリジニ)―妖怪の古里紀行 (水木しげるの大冒険 (2))
(2000/09)
大泉 実成

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日本を代表する妖怪博士、水木しげるのオーストラリア探訪。
アボリジニーアートや精霊、ドリームタイム(あの世のようなもの)など水木先生のアンテナにビンビンとひっかかる珍道中&冒険記。

このオーストラリア探訪時には、水木先生なんと77歳。
それなのになんとパワフルなことか。
よく食べ、よく眠り、そして自由に動き回る。
気の向くまま、感性の赴くまま、そしてオーストラリアの精霊に導かれるまま、やりたい放題。

本書は水木先生の漫画が少しと、この旅に同行した大泉さんの文で成り立っています。
普段の漫画ならば水木先生の主観で描かれますが、本書はそれだけでなく、水木先生を傍から見ている人の視点で書かれているから、一風変わった面白さ。

行く先々でアボリジニーアートや民芸品を買いまくり、ハイテンションになったかと思えば、後で後悔しだす水木先生。
生牡蛎をたらふく食べて、久しぶりに朝立ちしたと言っては喜ぶ水木先生。
進入禁止、撮影禁止をものともせずに、押し通す水木先生。
コンドームの人形を精霊か妖怪か何かと勘違いする水木先生。

根底には底抜けのポジティブとおおらかさが備わっている水木先生でも、時には落ち込むことも。
それは老いであったり、近づいてくる死の気配だったり。
自分をコントロールしきれないなど。
そうして、時に落ち込む先生の姿も描かれています。
あれだけの大家になったとしても、そういう落ち込みや悲しみはなくなることはないのだという、ちょっと人生の深い部分も感じたり。

老齢であり、すこしボケ始めている(自己申告によれば)ようだけれども、根底には子供のような好奇心が渦巻いており、それと胃の丈夫さもあってお元気なご様子。総合的にはポジティブとハッピネスな人なのだなぁ。
世俗に縛られていないのか、要所要所で短いけれど的を得た言葉を残されています。

戦争で地獄のような場面をくぐり抜け、戦後底抜けの貧乏を体験した水木先生。
それがあるからこそ、現代は楽しくてしょうがない、見るもの聞くものがハッピネスに溢れているご様子。
だからこそ、あれだけの感度で妖怪を描くことができたのでしょう。
77歳という高齢にもかかわらず、体当たりでオーストラリア、アボリジニーの世界に飛び込んでいく様は、まさに大冒険です。

ほかにもオーストラリアの本で、アボリジニーの神話、文化、アートなどを扱ったものはたくさんあるとおもいます。
ただこの本は、妖怪の世界に半生どっぷり浸かってきた水木先生がそれらを巡っているということが重要。
専門的ではないけれどほかの人には真似できない視点から見つめたオーストラリアの神秘。
水木先生もオーストラリアも両方好きなる本です。


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