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これぞ腐れ大学生文学 『新釈 走れメロス』

新釈 走れメロス 他四篇新釈 走れメロス 他四篇
(2007/03/13)
森見 登美彦

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桃色ブリーフの哲学


異様なテンションで京都の街を突っ走る表題作をはじめ、先達への敬意が切なさと笑いをさそう、五つの傑作短編。 (「BOOK」データベースより)

今回も森見登美彦さんの本です。
日本を代表する純文学を下敷きに、京都で繰り広げられる、ばかばかしくも切なくもある短編集です。

下敷きになっている五つ話は
・山月記
・藪の中
・走れメロス
・桜の森の満開の下
・百物語

この中で走れメロスしか読んだことありませんでした。(お恥ずかしいorz)
他の作品の原作は読んでいませんが、森見作品でのこれらはどれも味わいの違うものに仕立てられています。

山月記では腐れ大学生の孤独。
藪の中では腐れ大学生の陶酔。
走れメロスでは腐れ大学生の友情。
桜の森の満開の下では腐れ大学生の栄光と空虚。
百物語では腐れ大学生の自己の不確実さ。。。

森見作品にでてくる腐れ大学生達のカオスに入り組んだキャラクターを分解して、それぞれの名作に当てはめていったという感じがしました。

永遠の都市京都に住まう魑魅魍魎のごとき腐れ大学生達。
根拠のない自信と理屈無きポリシーを屁理屈につつんで右往左往の日々。彼らの栄枯盛衰を知りたくないけれど、現実と向き合うときにはちと苦い思いも立ち込める。

森見他作品ではあまり描かれていない、能天気な腐れ大学生のほろ苦さが含まれています。
能天気に駆け回る彼らを見るのはもちろん楽しい。けれど苦味も加われば味に深みがでていっそう彼らの世界にリアリティ≒没頭ではないでしょうか。

思い起こせば、大学生という年代は、どこか頭のネジがゆるんでいたもんです。
よくわからんことに信念を持ち、理由なき自信で行動する。
新鮮と言えば新鮮ですが、実地をともなわない空論は大学4年間(スムーズにいけば)の中で、みごと腐れていきます。
そんでもって、「はい、腐れ大学生の一丁上がり!」
見事、森見登美彦氏の世界で十分通用する、地に足つかない詭弁と妄想の塊と化すわけです。
それはそれで愛すべきところもあるのですが。。。

ちなみに題の走れメロス(森見版)は底抜けの疾走感と阿呆さ加減がたまりません。
三歩ともたない誠実さと、不信用を信用する友情を描いたばかばかしい作品です。
なんのこっちゃ解かり辛いですが、読んでみれば笑います。


注:腐れ大学生とは森見作品にでてくる登場人物たちの総称です。
  



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